玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ハロウィン

▼頂いたリンゴジャムが美味しくて自分でも作ることにした。リンゴ2個をイチョウ切りにして塩水にさらす。しばらくして水をきってから砂糖80g、水2カップ、レモン汁4滴ほどたらして焦げないように煮詰める。レモン汁はなかった。レモン汁にはペクチンが含まれており、リンゴを煮詰めたときにゼリー状にする作用がある。リンゴの芯にもペクチンが含まれているため、芯を袋に入れて一緒に煮詰めるとペクチンの代わりになるらしい。

 

砂糖は以前に黒糖蒸しパンを作ったときの黒糖が余っていたので黒糖を入れる。40分煮詰めると、まるでアンコのような黒っぽいジャムができた。実にまずそう。魔女が「ヒーッヒッヒッ」と、笑いながらかき混ぜる感じのやつになってしまった。味も黒糖のえぐみのようなものがでて、まずくはないものの不思議な味。微妙なやつが2瓶できてしまった。うまくいくかどうかは別にして、料理はすぐに結果が出るから面白いな。しばらくは微妙なリンゴジャムを食べていく。

 

 

 

▼ハロウィンだった。子供の頃にはまったくなかった風習だが、ここ何年かで日本にもすっかり定着した。着飾ったところを見せられるので、SNSとの相性がよいのだろう。私も今年はスーツを着てみた。ネクタイも締め、革靴も磨いた。ネクタイは窮屈であまり好きではないが、締めると気分がきりりと引き締まる。普段はジャケットで、スーツを着ることもない。プレゼンや打ち合わせがあるわけでもなく、誰からも頼まれてないのにサラリーマンのコスプレでお世話になっている会社に行った。普通に仕事をして帰宅した。アンコのようなリンゴジャムをパンに塗って食べた。これが私のハロウィンだ。

 

 

 

▼隣席のTさんから会社近くの雑貨屋の話を聞く。そこは賞味期限が切れそうな商品を格安で売る店だった。最近その店に新しく若い男性店員が入った。その店員の態度が悪く、お釣りを投げるように置くし、札を出すとレジがなくて計算が面倒なのか舌打ちまでするという。いまどきそんな態度悪いやつおるー? と興奮した。SNS全盛時、なにかあればすぐネットに晒される時代にその態度の悪さは貴重ではないか。「是非行こう、すぐ行こう」と行ってきた。

 

いやあ、本当にいましたね。たまに若い女の子にだけ優しい奴などいるが、そういうこともない。老若男女すべてに対して態度が悪い。全方向への不機嫌さに感心してしまった。「お客様は神様です」という行き過ぎた接客に対するアンチテーゼなのか。実に思想ある接客。私が千円札を出すと舌打ちはなかったものの、あからさまにため息をつかれた。いいぞお。なんだか興奮してきた。このやる気のなさ、つらぬいてほしい。

 

あまりにサービスが悪すぎて情緒が変になってしまったな。これからもこの店は見守っていきたい。

 

 

 

▼映画の感想『ミッドナイト・ファミリー』を書きました。メキシコで奮闘する闇救急車のドキュメンタリー。救急車が闇なのが恐ろしすぎる。プリンタの替えインクや、掃除機の紙パックが正規品でないのはかまわないが救急車が正規品でないヤバさよ。客を闇救急車同士でカーチェイスして奪いあう世界。本当にいろんな国がある。