玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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雪を踏みしめると懐かしい音がする

▼屋根や道路脇の雪はまだ溶け残っている。雪を踏みしめるギュギュギュッという感触が楽しい。道の脇に片付けられた小さな雪山を踏みにいって、ギュギュギュッとやっている。ああいうサービスがないものかなと思う。雪踏みしめサービス。たまに踏みしめたくなる。

 

今回の降雪で都内では120人が救急搬送されたというニュースを読む。隣席のTさんは「東京の人って、雪で転んだとか、電車が止まったとか、ちょっと喜んでません? 雪に弱い都会の俺たちみたいな。自虐風自慢に聞こえる」と手厳しい。さすが雪国の女。

 

東京に厳しい雪国の女との打ち合わせを終え、帰宅。スーパーに寄るとなぜかパンがすべて売り切れていた。パンがないスーパーってあるのだろうか。食パンだけでなく、菓子パンもない。どゆこと。雪で流通が滞っただけか。そういえば少し前、恵方巻の大量廃棄が問題になっていた。今はたとえ販売機会を失ったとしても廃棄が起きないようにするため、必要最小限の量だけ仕入れているのだろうか。高校の頃、経営や流通の本を読んでいた。そこでは機会損失や在庫切れを防ぐような流通網の整備について書かれていた。大量生産、大量廃棄から時代は変わったのかもしれない。

 

高校の同級生と会ったとき「そういえば昔、経営の本とか読んでたよなあ」とからかわれたことがある。正直に告白すれば、そのときはそういうのが格好いいと憧れていた。謎の憧れ。私は「そうだっけ? そんなの読んでないけど」ととぼけたが、彼は「いや絶対読んでた。間違いない。写真あるから今度持ってくる」とまでいわれたので土下座した。どんな写真撮ってんだ。そういうことを思い出した。雪の日は思考があちらこちらに飛ぶ。感傷的になる。ギュギュギュツと雪を踏みしめて家へ。

 

 

▼久しぶりの映画部。お世話になっている会社の会議室に集まって映画を観て、あれやこれやいうだけの活動。ポップコーンが食べられる日。なんの映画を観るかで意見が分かれる。女性は『死霊館シリーズ』などやたら怖い映画を観たがり、男性は恋愛物を観たがった。怖いホラーは健康に悪いので勘弁してほしい。

 

「恋愛映画を観ると夢に元カレが出てきて、悲しい気持ちになる」という人がいた。共感する女性がいたが、男の方はといえば私も含めてまるでピンときていなかった。恋愛映画を観ても何も起きない。男女差なのだろうか。それとも恋愛経験の貧しさか。結局、ホラーと恋愛の中間をとって『ウィンストン・チャーチル / ヒトラーから世界を救った男』を観ることになった。なぜホラーと恋愛の中間がイギリスの首相であるチャーチルなのかはわからない。

 

以前、観たこともあり第二次大戦の背景など少しだけ説明を入れつつ観たが「‥‥それもあってドイツの敗戦に繋がっていくことになった」といったところでクレームが入った。「ちょっと! ネタバレやめてくださいよ~。せっかくハラハラしてたのに」といわれる。第二次大戦でドイツが負けることはネタバレになるという。そんなバカな。

 

まさか日本の敗北も知らないのではと思い、訊いてみると「さすがにそれは知ってますよ。バカにしないでください。日本はアメリカに負けた‥‥んですよね?」という。心配そうに訊くのやめて。怖くなる。ただ、ドイツ敗戦はネタバレであると譲らず、詰め寄られる。日本史や世界史も近代までは授業がいかないことがある。知らないこともあるのかもしれない。ドイツ敗戦はネタバレというのを心に刻んだ。あと百年もすれば、第二次大戦での日本の敗北がネタバレの時代も訪れるのだろうか。

 

 

▼最近観た映画。

・ドラゴンボール超 スーパーヒーロー

30年ぶりぐらいにドラゴンボールを観る。今はどうなっているのだろうと気になった。この映画はピッコロが主役。悟空やベジータだと強すぎて扱いに困るというパワーインフレのせいかもしれない。昔の映像や懐かしのレッドリボン軍が出ている。これは親が子供と見ながら「レッドリボン軍には人造人間がいて」などと、子供に教えながら観るのではないか。そう気づいて少し凹む。さらにゴハンが結婚し、子供が生まれていることにも驚く。時代は進んでいる。私を置き去りにして。

 

 

▼こたけ正義感

高学歴芸人は珍しくなくなりましたが、弁護士芸人もいるんですね。面白いだけでなくスタイルまでいいとは。