玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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初雪

▼初雪。ひとつひとつの雪片が大きく、積もりそう。チンチラのように震えている。部屋に奇妙な虫がでる女こと虫ちゃんは「寒いとあったかい物が美味しいですよね」といった。どこまでも前向き。そのような精神で生きたいものの、今日はコタツと合体し、亀のように過ごしたい。

 

お世話になっている会社へ。外国人のサーバーエンジニアがやってくるというので楽しみに待つ。ワクワク。英会話アプリDuolingoで学んだ私の英語がいよいよ炸裂するのではないか、お? お? という心境。早く来たまえ。

 

スーツにネクタイをビシッと決め、ピカピカの革靴を履いたまさにイングリッシュジェントルマンという男性がやってきた。物陰から「外人だ外人」「キングスマンに出てそう」「コリン・ファースの生まれ変わりだ」などと噂する。コリン・ファース死んでいませんが。

 

そんなコリンと昼ごはんに行き、勇気を出して英語で話しかけたところ「日常会話は大丈夫ですので」と流暢な日本語でかえされ、拍子抜けする。コリンはホッケ定食を頼み、器用に箸で骨をはずし、味噌汁をすすると「こういう日にお味噌汁はホッとしますね」という。おまえ、それ日本人だから。もう純度100%の日本人だから~。帰って~って、なりました。おまえの仕事、私にはできんけど。

 

勝手に呼び付け、勝手にガッカリというのはあまりに失礼だ。聞いてみるとコリンは日本育ちという。どおりで日本語が完璧だと思った。好物はうまい棒めんたいこ味だし、同じ文化を共有している気もする。どちらかというと英語が苦手というコリンに「今年はもう花粉は飛んでますか?」と訊かれた。花粉症も装備済みとは、日本人より日本人よのう。

 

Duolingoといえば英語のスピーキング問題がある。手本として表示されている英文を読んでいくと、正確に読めた部分は文字が染まる。「ケイコさんは〇〇をした」などの文で、たまに「ケイコ」の箇所だけ文字が染まらないときがある。ケイコは日本語だろうよ。いわばこちらの発音が本場のはず。納得がいかない。

 

 

▼打ち合わせ。ある従業員に管理画面の使い方を社内用にまとめてほしいと依頼したら、パワーポイントのアニメーションをゴリゴリに使った資料を作ってきた。操作方法だけを記載したもので十分で、アニメーションなどが入ったものは社内向けには必要ない。作り直させようという話になる。「これはとてもよくできていた。だけど、見た目重視のものは外部へのプレゼンにはいいが、今回はシンプルな方がいい」と、本人のやる気を削がないよう伝えてほしいとお願いする。

 

ここまで凝った資料を作るのは手間暇がかかる。ここに時間を割くより、周りをサポートする方が重要なのではないか。時間がありすぎるのか、周りとうまくコミュニケーションがとれているのか、一度確認したほうがいい。そんなことを話す夢を見た。なにこのどうしようもなくつまらなく、リアリティ120%の夢、夢かこれ? 予知夢なのでは。

 

夢というからには空を飛んだり、映画の主人公のように巨悪と対決したり、具体的には淫夢が見たい。パワポ資料の修正て。こんなつまらない夢ないでしょうよ。もうちょっとがんばってほしい、脳に。サボらないでほしい。夢をあきらめないで、とはこのことだったか。

 

 

▼「おまえのことアクリルスタンドにして販売したろか」という悪口を急に思いついた。本当に急に。どこかで使ってみたいので備忘録として書き留めておく。使う状況がよくわかんないんだけど。

 

 

▼元上司がよく口にしていた「人が技術に押しつぶされる時代」というのが今なのかなと思う。人は技術ほど早く進歩できないから、いつかついていけなくなるのだろうか。私たちを擦り減らしているのは技術ではなく、技術を誤用した私たちかもしれないが、そのことを認識してもそれでも誤用は続いていく。SNS単体というより、SNSとメディアが組み合わさって波はどこまでも大きくなっていく。便利な技術が使い方しだいで善悪どちらにも使えるのは当たり前だが、それを使う私たちの心はどういった影響を受けていくのだろうか。

 

 

▼映画の感想『キングスマン:ファースト・エージェント』を書きました。イギリス紳士ががんばっておりました。気楽に観られる冒険活劇。面白かったです。