玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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黒豆煮レシピの衝撃的な真実!最高の微妙さをおすそわけ!

▼正月前に黒豆を煮てしまい、黒豆を食べ続ける日々。黒豆を煮るときは大量の砂糖を使う。レシピを見ると黒豆200gなら砂糖300gぐらい。ぞっとするほど多い。お菓子もそうだけど自分で作ると砂糖やバターをどれほど使うかわかる。それが嫌でレシピの半量ほどの砂糖しか入れなかったら、微妙な味の黒豆が大量にできてしまったな。近所に誰かいれば、この微妙さをおすそわけしたいところ。微妙なやつを毎日食べている。

 

換気扇の吸い込み口の掃除、点滅する蛍光灯の取り替え、コンセントのほこりをとるなどする。やる前は「はて、本当に大掃除というものが必要だろうか」などと抵抗していた。思えば、受験の時期には「『鳴くよ(794年) ウグイス 平安京』が社会に出て役に立つだろうか?」と三日に一度ぐらいぼやいていたことを思い出す。面倒なことは先延ばしにし、やらずに済まそうとする。困難への態度にまったく成長がない。私のような人間にこそ節目というものが必要かもしれない。節目があるおかげで、かろうじてそれっぽいことをしている。

 

ともあれ点滅する蛍光灯の取り替え。家にシャンデリアのような電気の傘がある。とはいっても、そんなたいしたものではなく、蛍光灯が4つ付いているだけですが。傘自体をLEDにすればいいのだろうけど、壊れてもいないのに替えるのもと思い、ずるずる使い続けている。蛍光灯4つのうちどれかが切れると替わりの蛍光灯(2個セット)を買ってしまうわけで「2個あるから、使い切らないともったいないか‥‥」などと今に至る。私が死ぬまで使うのでは。だましだましの人生である。

 

 

▼2024年1月末まででガラケーは使用不能となり自動的に解約される。12月に入って携帯キャリアから機種変更を求める矢のような催促。直接、電話もかかってきて催促されて驚く。ガラケー民の間では衝撃的な話題だったが、ネット上ではまったく話題になっていなかった。なにせみなスマホ民である。ネットではガラケー民など存在しないも同然。空想上の生き物、ツチノコ、ネッシー、ガラケー民。

 

私もIT関係で仕事をしていてガラケーユーザーには会ったことがない。ガラケーを出すと驚かれるし「2台使いで、2台目がガラケーですか?」と訊く人などまだいいほうで「え、なんか宗教上の都合ですか?」とか「縄文時代から伝わるというガラケーがこれか」などと、からかわれまくった。スマホでなければ人でなし、の世の中よ。

 

ついに私もスマホデビューの時が来たか。いざゆかん、携帯ショップへ。というか、年末までほったらかしにしておいて、本当にギリギリで行ってきた。携帯ショップはご年配の方々であふれかえり、予約なしだと3時間以上待つという。予約をして別日に再度突撃。あいかわらず人であふれかえっているのと、ただならぬ殺気がみなぎっているのだった。なにせ、ここにいる連中はスマホへの変更を拒み続け、渋りに渋ったうえにようやく変更にきた異常者‥‥猛者ぞろい。厄介な人たち。人のこといえませんが。

 

案内された隣のテーブルではさっそくバトルが開始されていた。スマホはGoogleアカウントでサービスが管理されており、まずGoogleアカウントを作らないことには話にならない。だが「Google」もよくわからなければ「アカウント」「アプリ」「LINE」も何もかもわからないわけで、店員がなにかいうたびに60ぐらいのおじさんは「はあっ!?」とキレている。紙の分厚い説明書がないことも不満だったようで「紙で全部書いてくれないとさあ! 誰がこんな仕組みにしたの? みんなわかんないよ、これじゃあ」と店員にあたっていた。店の雰囲気は最悪だった。店員もかわいそうなら、おじさんもかわいそう。いったい誰が悪いのか。

 

アカウントという言葉の意味だけ教えても、伝わらないのかもしれない。アカウントという概念そのものがなく、概念がわからなければ言葉の意味も本当には理解できないのかもしれない。言葉と概念、両方を憶えなければならないのだからたいへんだ。10年ぐらい服役して、出所していきなりスマホをもらったら絶望するかもしれない。難しすぎる、紙の分厚い説明書もないしな。よかった、服役してなくて。

 

担当の店員に「大変ですね。気が立ってるお客さんが多くて」と同情すると「そうなんですよ。もう怒られてばっかりで」と弱々しく笑うのだった。かわいそう。あまりにもたいへんそうなので、わがままを一切いわず、模範的な客として過ごす。彼にとって今日一番の当たり客になることを心に誓った。いろいろ相談した結果、月額千円のプランを紹介してもらい、スマホも無料でもらえてしまった。ほほほ。今はガラケーと違って充電器がついてないというので驚いた。

 

充電器の値段を訊くと3800円という。たっかー。しかし、彼はいいにくそうに下を向いて「あの、この道を渡った先に百円ショップがあって、そこで買えます‥‥」と教えてくれた。ありがたや。教えられた店でTypeCの充電器を110円で買った。ただ、スマホが古すぎてデータ移行は手動でやるしかない。とりあえずLINEとSkypeを入れてお財布ケータイを使えるようにセットアップし、余計なアプリを片っ端から消していく。音声アシスタントで、近所のスーパーを訊くと経路を出してくれる。おお、未来がこの手にある。自分のブログを見て「ほほう‥‥きれいに見える」など興奮した。他には何もしてません。おまえはガラケーで十分なのでは。

 

 

▼今回もブログのタイトルをAIにつけてもらった。「黒豆煮レシピの衝撃的な真実!最高の微妙さをおすそわけ!」 いや、微妙さをおすそわけしてもどうしようもなかろうよ。

 

もう一つ提案されたのは「大掃除は本当に必要? 思わず抵抗するその理由とは!」だった。面倒くさいからです。本当にはてなブログのAIはポンコツで、親近感しかないな。生き別れになった兄弟かもしれない。

 

 

▼映画の感想『2023年に観た面白かった映画』を書きました。今年はドラマをあまり観なかったのだな。去年、面白かったドラマに挙げた『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』のイ・ソンギュンさんの訃報に驚く。とても好きなドラマで、とても好きな俳優だったので残念です。