玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

プロフェッショナル 仕事の流儀 ジブリと宮崎駿の2399日

▼西日本は寒く、東日本は暑い。先日は25度を超え、半袖を着て歩いている人も見た。「関東などで夏日、12月の最高気温を更新」というニュースがやっていた。夏日て。12月ですけど! 地球ちゃん、どうしちゃったんだろ。

 

ニュースでは大谷選手のことばかりやっている。私も大谷ファンだが、もはや一生分の大谷成分をすでに摂取している気がする。もういい。野球好きですらいささか飽きているのだから、野球に興味がない人はたまらないだろうな。マスコミも考えた方がいいのではないか。たとえば、ずっとカバディのスターについて報道され続けたらどうだ。もううんざりするのではないか。カバディカバディカバディカバディ。字面ですらうるさい。いったい何をいっているのか、私は。

 

大谷選手はもはや人間を超えて聖人のように祀り上げられている。世間が期待する像を崩さぬように生きていくのは大変だろうな。「それは~結局‥‥誰が悪いんだぁ? 俺かぁ~?」とワンカップ大関片手に止まっているバスにからんだりもできない。さっき、そういう人みました。

 

そんな中、新しい運動器具を購入した。家の中で歩けるステッパー。

また部屋が狭くなってしまった。ハンドルはなくてもいいが、高齢の方にはあったほうがいいかもしれません。台座はかなり重く安定している。これは年寄りがやるもので、たいして疲れないだろうと思っていたら4分もやると息が荒くなる。5分やるとヘロヘロになる。私、極度に体力がないのだろうか。心配。CMでは女優の草笛光子さんが軽やかにステッパーに乗っていたが、あれは最初の10秒ぐらいだけを撮影したのだと思う。5分過ぎたときを撮ってほしい。死にかけてるので。

 

筋トレは飽きるので、定期的に新しい器具でやる気を引き出していくしかない。自分をだましながら生きていく。

 

 

▼スタジオジブリの宮崎駿監督に密着したNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀 ジブリと宮崎駿の2399日』を観る。ジブリは宮崎駿と高畑勲が引っ張っていた。だが、両輪の片方である高畑が亡くなり、宮崎はその大きな喪失感を埋められずにいたのかもしれない。

 

宮崎の高畑に対する感情は尊敬を超え、崇拝に至り、やがて愛憎半ばする複雑な感情へと変わっていったようで、本人以外に、いや本人にすら自己の内面をきちんと説明できるものではないのかもしれない。もう宮崎は高畑に対する思慕を隠そうともせず「パクさん(高畑)が、パクさんが」といい続けていた。

 

新作『君たちはどう生きるか』の重要なキャラクターに高畑が投影されているが、まるで高畑の死を受け入れるための儀式を、映画をとおして行っているような印象を受けた。こういうのに取り組むスタッフの心境というのは、どんなものなのだろう。アホらしいから本当は勝手にやってほしいのか、宮崎作品に関われる喜びがあるのか。

 

おじさんからおじさんへの濃密なラブレターを読まされているようで、いったい何を見せられているんだ、これはという気持ちと、ここまできたら最後まで付き合うから好きにやってくれという気持ちが半々。今まで十分楽しませてくれたのだから感謝しかない。宮崎は考えすぎて記憶が曖昧になって、苦悶の末にアイディアが湧き出ることを「頭のフタが開く」と表現していた。あの歳になって自分をそこまで追い込んで、自分の情けないところもさらけだして作品を作り続けることに尊敬を覚える。宮崎は百万人の観客に絶賛されるより、高畑ただ一人から褒められたほうが嬉しかったにちがいない。身を焦がすほど尊敬してやまない存在をもてることも、また幸せなことに思えた。

 

 

▼映画の感想『TAR/ター』を書きました。オーケストラの指揮者をケイト・ブランシェットが演じたサイコスリラー。ケイト・ブランシェットがとにかくすばらしい。こちらもすさまじいこだわりの人。音楽が好きすぎて、他はどうでもよくなっている。とても好きな作品でした。どうしようもなくがんこで面倒臭い人だけが、すばらしい作品を作れるのだろう。