玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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任命責任

▼柿の蓋もの

 

家には使っていない食器が多くある。食器棚を片付けていると柿の蓋ものが出てきた。これはヘタの部分が蓋になっており、中にお新香などをいれることができる。ヘタの造形が細かく、実も鮮やかな橙の濃淡がついており良い品に見える。食器棚の奥に無造作に置かれていたが、家にあるのがもったいない。

 

先日、柿沢法務副大臣が選挙期間中にYouTubeに有料広告を出すアドバイスをし、それが公職選挙法違反にあたるとして辞任した。この柿の蓋ものはたしか、柿沢さんのお父さんである柿澤弘治さんのパーティーに父が出席したとき、頂いたものだった。参加者に配られたのかもしれない。父は政治家と個人的な結びつきはなかったが、仕事で省庁に行くことは多かった。政治家からもらった色紙などは帰り道に駅のゴミ箱に捨てていたようだが、これは幸運にも捨てられずに我が家に来た。「洒落た物をくれる面白い人だった」といっていたのを憶えている。この瀬戸物は作りがかわいらしくて、子供の頃は食卓でよく見かけた。私も好きだった。使っていこう。

 

柿澤さんは著作の題名が全部長いんだよな。『永田町一丁目の国会議員は陣ガサをかぶったタヌキといわれる“毎日が選挙戦”に苦しむあわれな選良たち』(1980年)

 

ラノベではないか。時代を先取りしすぎている。

 

 

 

▼柿沢法務副大臣もそうだが、先日は山田太郎政務官が不倫で辞任した。私は自民党支持者ではないが、不祥事のたびに首相が任命責任を問われると少しかわいそうになる。不祥事を起こせば責任をとって然るべきだが、任命責任とは本当にあるのだろうか。二十歳を超えた人間が何をやろうと、そんなの知らんよというのが本当のところではないか。人が人のことを何もかも理解できるわけがないし、そもそも人を完全に見抜くことなどできない。会社の人事が求職者の人柄を正しく見抜けるなら、世の中にいじめやパワハラもないし、不祥事を起こす人間などいないのでは。人は良い方にも悪い方にも変わる可能性がある。結婚、親しい人の死、病気、さまざまな経験で考え方が大きく変わることがある。常に変化し続けている。任命責任という言葉を使う人をみると、この人は「人は不定で変わることはない」と信じているのかなと思う。それは良くも悪くも、人の可能性を低く見積もりすぎているように感じる。

 

 

 

女性の部屋に侵入し女性の下着を洗濯して部屋に干したか…50歳の男逮捕livedoor News)というニュースを読む。

 

日々、新しいタイプの変態は現れるのだな。どういう気持ちで接していいのかわからない変態。オリジナリティを感じる。

 

 

 

▼映画『あぶない刑事』8年ぶり新作発表のニュースを読む。

 

子供の頃、観ていた『あぶない刑事』。タカとユージももう70代なのだな。二人とも姿勢が良い。しかし、年月の速さに震える。衰えた姿を見るのはなにか怖いようだし、元気でがんばっている姿をまた見たいという矛盾した感情もある。老醜を晒したくないという人もいれば、ギリギリまでやりたいという人もいるのだろう。ファンとしては、ただ行く末を見届けるだけ。お怪我なさりませんよう。

 

 

 

▼映画の感想『ウーマン・トーキング』『飼育』を書きました。『ウーマン・トーキング』はある閉鎖的コミュニティで起きた性的暴行事件について女性たちが議論を重ねる映画。人によっては退屈かもしれません。面白かったです。初めて、最初から最後まで英語で映画を観ました。いちいち翻訳しながら観たので6時間ぐらいかかった。原語でみれば、わざわざ英語の勉強をしなくても語学力はつくし、映画が楽しめて一挙両得と思ったのだけど。しかし、そこから邦画とアニメばかり観ることに。なにせ原語で観るの面倒くさかった。リスニングが絶望的。もう怖くて原語で映画を観られない。ブルブル。

 

飼育』大江健三郎原作。戦時中、捕虜にした黒人を村の蔵に監禁する話。人間の嫌な部分をこれでもかと詰め込んだ作品。重苦しいですが良かったです。