玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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悲しみのタコ焼きパーティー

▼AI生成、野球の日本シリーズ。

 

 

AIについての本を読むとよく出てくるのが、AIに大学受験させようとして国語の問題が解けなくて断念した話。AIには常識がなく、常識がなければ国語の問題が解けない。その逸話を思い出した。私たちは無意識にいろんなことを学習し、常識を身につけている。そうでない人もいますけど。この絵を見て「そうか、AIは常識なかったな」というのを再確認した。この常識の数が膨大で、とても教えられる量ではないという。

 

キャッチャーが右側にもう一人いるとか、選手の数が多いとか、球場が割れてるとか、変なところにポール(通常は両端にある)が立っているとか、バッターボックスの書き方が違うとか、野球を理解していない。そもそも、バッターが変なかっこうで飛んでいる。AIは、うっかりすると「できる子なのではないか」と思わせてくるが、たまにとんでもないものを見せつけてくる。やっぱりできなかった。あまり信用せずにいきたい。

 

 

▼「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に集まらないで」区長が呼びかけ(NHK)というニュースを読む。

 

ちょっと前から区長がしきりに呼びかけているから、今年は仮装した人たちは渋谷に集まらないのだろう。ということは、それでも渋谷にやって来るのは選ばれしアホウということになる。純度が高いアホウが集う。それはそれで見てみたい。蟲毒のような光景になるのでは。蟲毒というのは、壺の中に大量の毒を持った生き物を閉じ込めて共食いさせ、最後に生き残った一匹を呪術に用いるやつである。わくわく。渋谷という壺の中で最後に立っているアホウは誰か見に行きたい。街頭カメラで中継してくれんか。

 

 

 

▼鎌倉の海水浴場のネーミングライツが終了するというニュースを読む。2013年に、鎌倉市は由比ガ浜海水浴場、材木座海水浴場、腰越海水浴場に名前をつけられるネーミングライツを売り出した。鳩サブレ―で有名な豊島屋が2023年度までの10年間の命名権を落札したが、住民に親しまれた名前だからと変更せず、そのままの名前で使用した。もう、ネーミングライツの正解が出てしまったな。元の名前を維持する以上の付け方は存在しないように思う。私もアラブの石油王に生まれたならやってみたかった。今後どんなすばらしい名前がつけられようと「まあねえ‥‥」としか、ならないだろう。そりゃあ、こんな粋な付けられ方したら地元の人は鳩サブレ―を買わずにはいられないでしょうねえ。

 

ネーミングライツの発祥を調べると、1973年にリッチプロダクツコーポレーションという会社が、アメリカンフットボールチームのバッファロービルズのスタジアム名称を1500万ドルで購入したのが始まりらしい。ネーミングライツっていかにもアメリカ人が考えそうな仕組みだけど、やはりアメリカだったな。名前を売るとはなかなか考えつかない。魂の売り方のレベルが違う。今に自分の子供の命名権とか売り出すし、親の墓石に派手な電飾で広告を入れ出す。アメリカ人はそれぐらいやる。

 

鎌倉の話に戻れば、鎌倉市は2024年度からの海水浴場のネーミングライツは募集しないという。ホッとしたような残念なような。豊島屋のあとに購入した企業が、変な名前をつけようものならイメージダウンは必至に思える。なんのために買ったのかわからないことになってしまう。でもどこかに買ってほしかったというのもある。ビッグモーターあたりが買って「ビッグモーター海水浴場」とかにして鎌倉市民からメチャクチャにぶっ叩かれたら面白かったな。そもそも買う動機がないですけど。

 

 

 

▼お世話になっている会社へ。部屋に奇妙な虫が出る女こと虫ちゃんと、タコ焼きパーティーの材料を買い出しにスーパーへ行く。都心は、私が暮らす多摩西部と物価が違うのだろうか。トマトが220円、大根・キャベツが350円して恐れおののく。「ねえ! 見て見て!」と大騒ぎして虫ちゃんにあきれられる。いや、高いでしょうよ。私の心の故郷、業務スーパーなら大根は高くても198円で買えるはず。

 

会社に戻った虫ちゃんに、みんなの前で非難される。「本当に恥ずかしかったですよ。大声で『見て、このコーヒー! 子犬のションベンみたいな量で350円!? 狂ってる!』って」。確かにいいました。しかし、女性の前で「ションベン」というのはどうかと思い、私は「オシッコ」とかわいらしくいったのだ。盛らないでほしい。なんなら普段は「お小水」というし、お手洗いに行くときは「花を摘みに行く」という。そのぐらい奥ゆかしく生きているのに。子犬のションベンだなんて、そんなあなたお下品な。

 

タコ焼きパーティーでは、まったく接点のない人とも話せてよかった。経理の女性Dさんは最近、離婚したばかりということだった。彼女が離婚した原因は睡眠が好きすぎるという理由だった。何よりも寝ることが好きで、一日十時間ぐらい寝たいという。二刀流の大谷選手も疲労をとるために10~12時間ぐらい寝るらしいが、Dさんはまったくホームランを打たないし、160キロも投げない大谷である。ただ寝る人がそこにいる。

 

元ダンナさんは、そんなDさんに「まったく向上心がない」と愛想を尽かしたという。スキルを上げたり、資格をとったり、常に向上しようというのは立派だけれど、まったく努力したくない人もいていいように思う。もはや、そのやる気のなさは許されないのだろうか。どちらが正しいというわけではなく、向いている方向が違っただけなのかもしれない。寝すぎて離婚は新しい。

 

ゴリラ部長と話す。娘さんが絶賛反抗期中とのこと。わくわく。お小遣いやお年玉を好きなユーチューバーへのスパチャ(投げ銭)に無計画につぎ込んでしまうのだとか。「はっはっは! 親に似て愚かな娘。おおいにけっこうなのでは」といって首を絞められる。

 

近年「推し」という言葉を聞くようになった。「推し」という言葉ができる前「推し」はなかったかといえば、そうではないように思う。キャバクラやホストの常連、相撲のタニマチ、パトロンという言葉もあった。さかのぼれば歌舞伎役者や遊郭の女郎には贔屓があった。昔と違うところがあるとするなら推す側の財力か。推す側にはお金があった。ところが今は少額でも推すことはできるため、推される側のほうが明らかに豊かである。古川財閥の当主、古川虎之介は第二十八代横綱の大錦大五郎に80万円(現在の価値で30億円相当)の土地を送っている。それに比べれば小遣いやお年玉をユーチューバーへ貢ぐなどかわいらしい。

 

そもそも小遣いというのは適当に使って痛い目をみるのが目的のようなもの。自分の無計画さを反省し、本当に欲しい物が買えず「ぢぐじょお~」と七転八倒、布団の上でゴロゴロ転がって足をバタつかせて涙する。それで計画性を学ぶのだから、スパチャおおいにけっこうなのだと思う。なにせ、ゴリラ部長が必死に稼いだ金がスパチャに回っているのが愉快。

 

ゴリラ部長は「俺たちの子供の頃はあそこまでバカじゃなかったよな」というが、はて本当だろうか。子供時代、キン消し、カー消しにお金を使うのを、親はどう思っていたのだろう。「消しゴムなんか何個もあってもしょうがないだろ」と思っていたんじゃないのか。いわれたことはないけれど。インターネットやスパチャという仕組みがなかっただけで、あれば私たちも小遣いをスパチャに費やしたようにも思える。そこから闇バイトやパパ活にいくのは問題だが、小遣いのどうしようもない使い方で後悔するのは、社会に出てから痛い目をみない予防接種に思える。まあ、その予防接種が「よくわからないカップルユーチューバーへのスパチャ」と聞いたときは、さすがにちょっとかわいそうになりましたけど。たしかにその使われ方はしんどい。