玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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新緑

▼鮮やかな新緑が美しい季節。少し歩けば汗ばむ陽気で、散歩するのにはとてもいい。ピンクや白のツツジが咲き誇っている。タンポポも綿毛を飛ばしており、まだ半分ぐらい残っているものもある。その隣には黄色く小さな山吹の花が咲いていた。

 

ピンクのツツジは、小学校の登下校の際、友人と蜜を吸ったことがあった。ツツジの中でも朱色のレンゲツツジはグラヤノトキシンが多く含まれ、厚生労働省のページではグラヤノトキシンの摂取による視覚異常、呼吸困難、歩行困難、嘔吐などの症例が挙げられている。レンゲツツジだけではなく、ツツジ科の植物全般にグラヤノトキシンは含まれるから、蜜は吸わないほうがいいのだな。少しならば平気なのだろうけど。「うめー!」っていいながら、アホみたいに吸っている友人Yがいた。ツツジの毒で脳をやられていたのかもしれない。算数で4点とか取ってたし。白いツツジをひとつ摘んで蜜を吸ってみた。中毒になる物質が入っているのがわかっていると興奮しますな。特に甘くもなく、ただ香りはよかった。

 

ツツジの隣にはオレンジの可憐な花が咲いていた。名前はわからない。サリンジャーの小説『ナイン・ストーリーズ』に『テディ』という短編がある。その中で、アダムとイヴが食べた果実に入っていたのは「論理」だったというものがある。もしありのままに物を見たいなら、その論理を吐き出さなければならないと書いてあった。植物を見れば名前を調べたくなるし、成分も読んでしまう。それで何か知ったような気になってしまう。植物だけでなく、どんなものにもあてはまるのだろう。映画を観れば監督や俳優が気になるし、この場面にはこういう意味があるなどつい余計なことを考える。何かを書くということは論理を積み重ねることに思えるが、論理を吐きだして自由な目で物を見つめながら書くという行為は両立できるのだろうか。そんなことを考えながら、私は今日もゾンビを殺す。

 

 

 

▼大谷選手の記事を読むことが増えた。つい読んでしまうな。徹底した食事管理、トレーニング、飲み会に参加しないなど野球に対するストイックな姿勢には感心させられる。だが、この記事で記者からニューヨークの街について訊ねられたとき「1回も出たことがないので分からないです」と答えていることに驚いた。野球にしか興味のない野球星人ぷりがすごい。

 

ニューヨークなど観光スポットだらけで、ブロードウェイ、タイムズスクエア、セントラルパーク、グランドセントラル駅、ロックフェラーセンター、ブルックリン橋など映画にも登場する場所ばかりだ。ついのぞいてみたくなりそうだけど、特に興味がないのかな。ストイックというより、そういう人なのかもしれない。球場とホテルの往復以外しない人間。だが、待てよと思う。会社勤めをしている人で、職場と家の往復だけの人もけっこういるのではないか。そう考えるとべつに特別でもないのか。

 

 

日本では球場にきた人に、特別なユニフォームを配ることがある。アメリカではボブルヘッド人形を配る。前から思っていたが、まったくかわいくない。自己最多の13奪三振を奪ったことから、体に13個の球がついたものだが腕に球が生えているようで怖い。アメリカはエンタメ系は質の高いものを作りそうだけど、この分野に関しては謎グッズが多い。この人形などまだ似ているほうだが、他のはもっとひどい。

 

 

台座に名前が入っているけど完全に「誰?」という感じがある。似せる気がない。強いていうなら広島のセカンド、スイッチヒッターで首位打者をとった正田耕三に似ている。正田の人形の余ったやつに「OHTANI」とつけて出したのでは。正田については30年前の選手名鑑でもみてほしい。古葉監督で広島が強かった時代。元から三人ぐらいしか読んでいないブログなのに、いよいよ誰に向けて書いているのかわからなくなってきた。