玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

公平の感覚

▼猫の愛護団体が、保護した猫をお酒の蒸留所に斡旋しているという海外ニュースを見た。保護した猫は気性が千差万別で、荒々しいものは引き取り手が少ない。特に野良猫は警戒心が強くて人に懐きにくい。活発な性格な猫も多いという。そこを逆手にとって蒸留所でネズミ除けに雇うのだとか。蒸留所では設備をネズミにかじられて被害が出ていた。また、中身がお酒ということもあって殺鼠剤なども使いたくない。それで猫を雇ったところ、ネズミが姿を消したという。蒸留所の人間は忙しく、あまり猫にかまわないし、猫も元野良猫だからあまり人にかまわれなくないというお互いのニーズが合致して、いい関係が築けているのだとか。実にいい話。

 

こういうのことわざでなかったっけ。割れ鍋に綴じ蓋は少し違うか。適材適所みたいなの。ことわざが思い浮かばないまま、四月の桜も見頃となった。

蒸留所の話とはまったく関係ないが、猫にカメラをつけてみたら、けっこう楽しそうによその猫と遊んでいたという映像。ご機嫌で鳴いていて楽しそう。猫が鳴くのは人間に呼びかけるためで、猫同士では鳴かないときいていたがそんなことはないんですね。普通に「にゃにゃにゃにゃ」て挨拶していた。「にゃーんにゃーんにゃーんにゃ」と歌みたいなのも歌っている。これは一般的なのか、この猫が猫界の革命児なのか。謎。

 

動物のニュースで思い出したが、カラスがペットボトルの水を飲むのに石を落として水位をあげて飲むという動画を見た。たしかヘロドトスの『歴史』に同様の逸話があったように思う。紀元前の話ですけど。もちろんこの時代にペットボトルはなく、コップか甕(かめ)の底の水を飲むのに石を入れていたような。この話、本当だったのだな。二千年の伏線が回収されたようで嬉し。

 

 

 

▼子供の頃に読んでいた漫画『キン肉マン』はまだ連載が続いているらしい。ファンは40代以上の人が多いのではないか。SNSで『キン肉マン』の展開をバラされることに嫌気がさした作者のゆでたまご先生が「ネタバレするな」といいつづけたおかげで、ファンは『キン肉マン』のネタバレをやめたという。ファンもある程度年齢がいってるから、おとなしくいうことをきくのだろう。だが、ファンは『キン肉マン』についてつぶやかなくなり、今度は連載をしている事実を多くの人が忘れてしまったのだとか。ゆでたまご先生は「今度はもっと話題にしてほしい」といっているニュースを見た。大昔ならイソップ童話などに集録されそうな話。

 

 

 

WBCも終わり、メジャーリーグプロ野球も開幕した。サッカーのプレミアリーグもやっているし、全部観ていたらそれだけで人生が終わってしまうのだろうな。大谷と三苫の試合だけ観ようかな。ミーハー中のミーハー人間である。

 

WBCでもそうだったし、大谷選手が所属するエンゼルス戦もだけど、大谷がいる側をアナウンサーも解説も当たり前のように応援している。日本人選手の活躍が嬉しいのはわかるが、野茂投手がメジャーで活躍しだしたときは、もう少しアナウンサーも解説も感情を抑えて公平に伝えようとしていたように思う。ときおり、つい応援する気持ちが溢れて出てしまうのは仕方がない。でも、基本的には伝える側は公正中立であるべきではないか。

 

仕事でよく伺う会社で社内結婚があった。結婚した女性と一緒に昼食を食べる機会があり、馴れ初めなどを聴く。彼のどこが良かったか訊ねると「自分だけ特別扱いしてくれる」ということだった。業務のやりとりで依頼を優先してやってもらえたらしい。「そういうのいいよねー」と、その場には他に女性三人がいたが彼女たちも同意していた。そうなのかと驚く。

 

それははたして正しいことなのか。仕事として引き受けたなら、特段の事情がなければ基本的には依頼がきた順にこなすものだと思っていたし、これまではそうしてきた。依頼相手が好きとか嫌いとかで、仕事の優先順位を変えるなど考えたこともなかった。たとえ、その依頼を親の仇が持ってこようと、引き受けたからには血涙を流しながらでも順番通りにやるのが仕事というものではないでしょうか。そういったところ「え~、やだー、気持ち悪い」といわれる。アホか、気持ち悪くないわ、逆に気持ちいいわ。気持ちいいってなんですか。自分でもよくわかりませんけど。

 

納得いかないので、その場で決をとると、仲の良い人の仕事を優先的にやるは「4」に対し、仲が良かろうが悪かろうが来た順番でやるは私の「1」だけだった。そんなバカな。世の中間違っとる。私が間違ってるのか。えこひいきしてもいいものなのか。どうもよくわからない。食事から戻り、隣席のTさんに訊いてみたところ「そんなの気分でいいんですよ、気分で。ガッハッハ!」と豪快に笑い飛ばした。ダメだ、こいつは。参考にならん。

 

どうも納得いかないまま、来た依頼を順にこなす日々。