玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

年末まで怒られる人を見る

▼年末、ばたついている間に29日。光陰矢の如しである。何もしてないのに年末。人生もこうなのだろうか。何もしてないのに還暦。何もしてないのに定年。何もしてないのに米寿(88歳)。何もしてないのに白寿(99歳)。いや、どんだけ生きるつもり。

 

今年は早めに年賀状も刷ったのにまだ書いてない。黒豆も煮たいし、豚の角煮も作りたい。何もやってないのだった。なぜか手元にゲーム『DEATH STRANDING』がある。すべてはこいつが悪いのでは。

 

 

アメリカ崩壊後の未来。インフラや交通機関も破壊され、主人公は徒歩でえっちらおっちら荷物を運んでいるのです。最新技術とグラフィックで、やってることはウーバーイーツ。死体など運ぶウーバーイーツ。

 

ゲームを褒めるときの言葉で「映画みたい」というものがよくある。『ファイナル・ファンタジー8』ぐらいから、そんな言葉がつかわれ始めた。もはや使い古された言い回しだが、本当に映画みたいな作品。カメラワークが映画っぽい。ノーマン・リーダス、マッツ・ミケルセンなどの俳優も、本人とはっきりわかる。私は今日も顧客のために荷物を届ける。再び世界の人々を繋ぎ、アメリカを復興させるのだ。年賀状やブログなど書いている場合じゃない。

 

 

 

▼買い物。スーパーの近所に半額ショップなるものができていた。景気の悪さを象徴するような店で、ずいぶんとにぎわっていた。コンクリート打ちっぱなしで品物だけが高く積まれている。秋葉原にこういう店がよくあった。倒産した店から二束三文で買いたたいた物を安く売るような店なのだ。

 

ゲーミングヘッドセットなどはずいぶんと安い。買うか迷うが、今使っているものが壊れてもいないので我慢する。こういうとき、大人になったと思う。危なかった。三週間前の自分なら買っていただろう。人としての成長を感じる。すくすく。

 

店には食品やおもちゃが並べられ、よく見れば定価以上で売られている物も多い。小学校3,4年ぐらいの子供がわりと大きな声で「この店、全然安くないじゃん」などといっている。その意見には同意するがなにせ声が大きい。私は知恵の輪(10個セット)を見ていた。こういうのもたまにはいいかなと手が伸びかける。

 

するとまたその子供が「この知恵の輪、全部同じじゃん。不良品かよ」などという。とにかく声が大きい子。よく見ると、たしかに同じ種類の物がたくさん入っているのだ。おかげで変な買い物をせずに済んだ。店員は渋い顔をしていた。ボリュームの壊れた子供がいる店をあとにした。

 

 

 

▼年末、24時間くんのスケジュールミスのせいで予定が大幅に狂った。何日間かほとんど仕事のない時期があり、その後に処理しきれない業務が降ってきた。じゃあ、あの暇だった期間はなんだったのよという。

 

24時間くんは呼び出され、ゴリラ部長、Kさん、私の前で釈明することになった。24時間くんは神妙な顔で口を開いた。「今回のことは完全に私に責任があります。申し訳ありません」というから笑ってしまった。そういうセリフは誰かに責任があるとき、その人をかばっていうものだと思っていた。今回は本当に100%、24時間くんに責任のある初歩的なミスなのだ。

 

「なにいってんだよ」「そうだよ、おまえ以外に誰が悪いんだよ」「反省しろバカ者」「正月、滝行してこい」など、心の形が変わるほどボコボコに殴られていた。年末、業務終了の社内、少しゆるんだ雰囲気で大掃除などやっているとき、みんなから罵倒される人ってめちゃくちゃ面白いな。

 

 

 

▼映画の感想『ビューティフル・レターズ 綴られた言葉』を書きました。見知らぬ人から届いた謎の手紙を追った心温まるドラマ、なのだと思う。温まったかどうかはその人しだい。温まらなかった側の感想です。また悪口を書いてしまったな。

 

そういえば毎年、今年観た映画ベスト25を挙げていた。すっかり忘れていた。誰からも頼まれてないのだからがんばらないと。