玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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繰り返す夢の景色

▼ついこの前まで暑がっていたら、唐突に冬の雰囲気。着ていく服がないな。

 

東京五輪の汚職で、賄賂を受け取っていた高橋容疑者が三度目の逮捕というニュースをみる。三度ってすごいな。紳士服のAOKI、KADOKAWA、広告会社の大広といろんな業界からもらっている。オリンピック種目に賄賂があれば金メダルだった。皮肉ではないのだけど、そんなにお金もらってどういうことに使うのだろう。

 

ときどき見る夢に、高校の体育の授業の出席日数が足りなくて卒業できないというものがある。卒業したのなんてもう30年前。ここまでくれば一生見続けるのかもしれない。恐ろし。高校三年のとき、受験に関係ない体育を出席必要日数の限界までサボってしまった。おまけに計算違いをしていたため、卒業できないのではと焦った。その恐怖感が抜けないのか、まだ夢を見てしまう。私の父は大学時代にドイツ語の単位を落としており、卒業してからもその夢を見続けたという。家系なのかこれ。

 

私は体育だけではなく、他にも数学バージョン、英語バージョン、フランス語バージョン、古典バージョンなど幅広くとりそろえております。悪夢のレパートリーが豊富。

 

 

 

▼夢で思い出したが、夢うつつのときにだけ、前に夢でみた場所が再び夢に出てくることがある。それは現実には存在しない場所なのだけど、変わった地形が多い。陸橋のような横一直線にのびた高く美しい滝で、夢に出たとき「あ、前にも見たな」と感じることがある。眠たいときにだけ現れる同じ景色が何種類かあるのだ。脳のある場所にこういった架空の景色が格納されていて、眠い時にはそこにアクセスしやすくなるのだろうか。謎。

 

 

 

▼打ち合わせ後の雑談。急に寒くなり、着ていく服がないという話になったら「いつも同じような服着てるのに」と笑われる。思えばそんな気も。逮捕されなければ服はなんでもいい、どこかでそう考えている節がある。

 

高校時代、生徒会長選挙に立候補した候補の一人が「制服をなくす」という公約を掲げていた。当時からまったくお洒落でなかった私は「毎日着る服を選ぶのが大変だから、制服はなくさんでいい。落ちろ落ちろ」と思っていた。その公約を掲げた男は、一部の熱心な女子生徒から支持を受けている様子だった。ところが彼の得票は思いのほか伸びず、私の友人がかなりの差をつけて当選した。選挙というのはわからないものだなと思った。

 

友人の公約が何かは忘れたが、地味だが現実的で実現可能なものだった気がする。もし仮に制服廃止の候補が当選していた場合、本当にそんなことが可能だったのだろうか。当時はまったく考えなかったが、制服を廃止するには校則の変更はもちろん生徒、保護者、教員の意見もあらためて聞く必要があるように思う。先生と世間話で生徒会長選挙の話になった際、先生から「(制服廃止を公約にした生徒は)受かると思う?」と訊かれた。私は「難しいと思います」と答えた。当時、うまく理由を説明できなかったが彼は当選しない気がしていた。

 

実のところ制服廃止という主張が理解できなかった。彼の公約の主旨は学校側に決められた制服を捨て自由を勝ち取るということだった。だが、特に抑圧されている気もなかったし、たとえそれが意識せぬ抑圧だとしても人生の三年間制服を着たところで、それはたいした問題なのかなと思った。一生高校にいるのではなく、みなここを出ていく。高校は単なる通過点に過ぎない。どうでもよかった。

 

そもそも生徒会活動自体が理解できなかった。生徒会が本当に何かを自由に決定することなどないと考えていた。学校側が決めた範囲内の自由を生徒に与えるもので、選挙権、政治、民主主義などについて考える教材、投票の予行演習として生徒会制度があるのではないかと考えていた。生徒会はごっこ遊びにすぎない。

 

そういった冷笑的視点を持っていたのも確かだが、彼がなぜそこまで大差で落選したかはわからなかった。熱くがんばっている姿が鬱陶しかったのだろうか。文化祭なども、外側から見ていると「面倒臭い」「ダルい」となるが自分が文化祭実行委員になって中心でがんばっていると案外楽しい。この楽しさとか熱さというのは、自分が中心になってみないとわからないもので、外側にいる傍観者のような立場のとき「なんか、がんばっている奴がいるな。自分には関係ないけど」と冷めた目で見てしまうところがある。

 

彼が落ちたのは、自分と周囲だけで盛り上がってしまい、外部を取り込めなかったからかもしれない。あと、モテてたので単純に嫉妬だと思います。間違いないんだ。

 

またとりとめのないことを書いてしまった。最近よく思うのは冷笑的視点についてで、何かを批判するにはそういった視点も有効だけど、それだけではつまらないように思う。わかったような気分であらゆるものを批判していれば傷つくことはないし、大変なこともない。でも自分が中心になって本気でがんばるという、気恥しいけれどそれが大切なことなのではないか。そうやって初めて楽しさがわかることもある。歳をとれば視点も固定され、好き嫌いが固まってくる。頭から拒否せずにまずやってみるというのも必要かもしれない。

 

 

 

▼映画の感想『オリバー・ストーン オン プーチン』を書きました。オリバー・ストーン監督がプーチン大統領にインタビューしたものを4話(約4時間)にまとめたドキュメンタリー。プーチン大統領の人となりがわかって興味深い。