玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

「マイ・ディア・ミスター ~わたしのおじさん~」

▼映画の感想を書くとき、IMDBというネット上で最大のデータベースサイトを参照することが多い。作品データだけでなくユーザーがつけたレイティングもあるのですが『マイ・ディア・ミスター ~わたしのおじさん~』はそこで9.1点(10点満点中)をとっている。8点を超えれば誰もが知るような名作が並ぶが9点を超える作品はかなり珍しい。ドラマは長いから、観るのにかかった時間を無駄だと思いたくないという気持ちからか、評点は甘めになることが多い。それでも9点越えは珍しい。

 

期待して観たんですけどねえ。もうひたすらおじさんが虐められ続けるという‥‥。おじさんを、おじさんをいじめないで!

 

 

ある日、建設会社で働くドンフン(イ・ソンギュン)のところに匿名で高額の商品券が届く。そこから社内の内紛に巻き込まれていく。もうねえ、会社はギスギス感がすさまじい超ブラック企業だし、派遣社員のヒロインは狂犬みたいな女だし、兄弟(無職とほぼ無職)は面倒ばっかり起こすし、嫁は浮気してるしで、おじさんがかわいそうなのだ。まともなのはおじさんだけで、狂人に囲まれている。まるで楽しさが見えないまま3話が終わり「これ、観なきゃいかんのか‥‥?」という思いにとらわれる。

 

 

ドンフンの会社で働く派遣社員イ・ジアン(IU)のとげとげしさがすごい。ドンフンが前世、彼女の村を焼いたのでは? というぐらい恨まれている。ただの派遣社員のはずがCIAばりのスキルでドンフンの携帯電話に盗聴ソフトをしこんだり、社内の監視カメラの位置を把握して停電を起こし、機密情報にアクセスしたりもする。ちょっと要領よすぎるのではという疑問もあります。完全に熟練工作員。あといろいろ行政に相談しなさいよと思う。

 

このヒロインとおじさんの恋愛ものなのかなと思った。これまでも歳の離れた男女の恋愛作品はあった。でも、正直なところそういう作品が少し苦手だった。20も30も歳の離れた若い子との恋愛を夢見るおじさんが痛々しいというか、気持ち悪いというか、しっかりしろオイ! と胸倉をつかんで揺さぶりたくなるような。上辺は爽やかに振舞っていても、生々しい中年の欲望を煮しめたようで、とても観ていられない気がしたのだ。

 

今のところ8話まで観たのですが、どうもおじさんはかなり忙しく、ヒロインとまだ恋愛に発展しないようなので安心している。いずれはそういう展開になってしまうのかもしれない。ただ、7話の終わりに二人が酒を飲む場面があって、そこでヒロインが初めて笑うのだ。1話~7話までずっとおじさんを恐喝してきたような奴が、ついに無邪気な笑顔を見せるという。率直に申し上げて、このときの笑顔、めちゃくちゃかわいかった。おまえも、気持ち悪いおじさんになってんじゃねぇかという話ですけど。

 

滞空時間の長いツンデレものなのかもしれない。ただ、その滞空時間の長さ、ツンの長さで死にかけたというのはあった。

 

 

ドンフンを演じたイ・ソンギュンがねえ、また実にいいおじさんなんですよね。佇まいがいい。ちょっと品がよくて、日本でいえば谷原章介さんのイメージに近い。有能な会社員で出世街道からははずれているが、そのことを嘆いている様子はない。むしろ会社の権力争いに巻き込まれず、仕事だけしていたいタイプの人なんですね。なんだかこういう人が自分の意志とは関係なく、派閥争いに巻き込まれるのは本当にかわいそう。会社の上層部が全員、権力大好きおじさんで朝から晩まで足の引っ張り合いだしなあ。とにかく、なんでこんなにってぐらい虐められてしまう。かわいそ。気づけば次から次へと観てしまっている。はまりつつあるのでは。おじさんの魅力にとらわれているのでは。早く次が観たい。もっとおじさんを虐めてほしい。

 

ちょっとよくわからない場面があって、店などで他に客もいるのに不必要に大声になる人がいる。ボリューム壊れてんのかな? というぐらい大きい。注目を浴びたいキャラなのか、それとも地声が大きいだけなのか、はたまた韓国の習慣なのかな。あと、毎日宴会してる。