玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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学習リモコン

▼そうこうしているうちに6月中旬。最近は6時前に目が覚めることも。いったいどうしたのか。迫りくる老いの気配。もうすぐ8時に寝るようになるのでは。趣味が自分史づくりと盆栽になる日も近い。

 

以前から少し疑問だったことに「趣味がカフェ巡り」というものがあった。先日、実際にカフェ巡りが趣味の人と話してわかったが、1日に何軒もカフェをはしごするわけじゃないのだな。「当たり前じゃないですか」といわれたが、だったらそれは「カフェ巡り」ではなく、単に「カフェにいく」ことだと思う。だって「巡る」っていうから。

 

私がイメージしたのは、修行僧のようにカフェを巡り、もうお腹いっぱいで飲めないのに飲み物とパンケーキを注文。コーヒーでパンケーキを強引に流し込み、休む間もなく次のカフェに向かう。それこそがカフェ巡り。なんにも楽しいことなどないストイックな趣味。違ったのか。

 

 

 

▼好きな映画の話になったが、一本だけあげることに難しさを感じた。せめてこのジャンルならこれ、あのジャンルならあれ、みたいなのはできるかもしれないけど。観たときの衝撃度でいうなら過去にインドネシアで起きた虐殺をとりあげた「アクト・オブ・キリング」がすごかった。でも、この映画を何度も観たいかといえばそんなことはないし、どちらかといえばもう二度と観たくない映画である。

 

アベンジャーズシリーズは好きな映画だが、本当に楽しむためには、アベンジャーズを観る前に観なければならない作品(アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルクなどなど)がたくさんあって、最終的にアベンジャーズに行きつくわけで一本だけの評価でこのシリーズを選んでしまうのもなんだか違うような気がする。シリーズものにはそういう難しさがある。ハリー・ポッターやロード・オブ・ザ・リング、スターウォーズ、バットマンなどもそうでしょうけど。いや、しかし『ロード・オブ・リング 王の帰還』は捨てがたい。

 

では『ローマの休日』を選ぶというのもどうだろうか。あれはたしかにいい。でも「美味しい物をあげてみよう」という話になったとき、やれどこそこの寿司がいいとか、鰻がいい、ステーキがいい、すき焼きがいいと名店をあげているとき、急に「やっぱり母親が作った味噌汁だな‥‥」というような。今それをいう!? となってしまう。たしかにそうなんでしょうけどー。というわけで、原点的な『ローマの休日』をあげるのもまた違うように思う。同様の理由で黒澤映画や寅さんシリーズも、ためらわれる。

 

結婚相手が見つからないとエビにされてしまう『ロブスター』の世界観はバカバカしくて面白いが、それをこの一本としていいのかも悩む。人種差別を描いた『フリーダム・ライターズ』はすばらしい映画だが、正直なところ楽しさはない。マッツ・ミケルセンが好きで『偽りなき者』や『プッシャー2』が好きだが、この一本というにはどうも。『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』はとてもいい映画だが、いやあの凄惨な殺し合いと騙し合いを観続けるというのも、などと思えばこの一本がなかなか出ないのだった。

 

「今まで観た中で、面白かった映画一本あげるならなんですか」という質問をしてきた新入社員2号くんは、軽い気持ちで訊いたのだろうな。私が黙り込んでしまったから驚いたのかもしれない。私は答えに詰まったので、逆に2号くんにとっての一本は何かと訊いた。

 

「えーっと、あれ良かったですよ、ドラえもんの新しいやつ。うーん‥‥タイトルちょっと忘れましたけど」

 

久しぶりに、てめぇ! ってなってしまった。この一本のタイトルを忘れたってどういうことだ。世が世なら切腹、現代では始末書ものでは。

 

 

 

▼テレビのリモコンが故障したので、替えのリモコンを買う。

今まで父の誕生日や父の日にいろんなものをプレゼントした。鞄もいくつかあげたし、ネクタイやネクタイピン、万年筆、蕎麦殻の枕などもあげた。でも、もっとも喜ばれたのがリモコン(600円ぐらい)だった。まあそんなものである。父はテレビが好きで、家にいるときはリモコンをお守りのように持っていた。よく抱えて寝ていた。そのときテレビを消すと「聞いてる」などという。嘘をつけ、嘘を。今やってた番組の内容をいってみろと思う。テレビっ子だった。

 

だから、リモコンのチャンネルボタンの効きが悪くなり、かなり強く押さないとチャンネルが替わらなくなった。父は替えのリモコンを売っていることを知らなかったのだろう。私があげたプレゼントの中で、リモコンがもっとも喜ばれたのだ。

 

さておき、テレビのリモコンが壊れたので替えを買う。学習リモコンというのがあるのですね。知っている人には当たり前なのですがかなり便利。なんと、お使いのテレビはもちろんブルーレイ・DVDプレーヤー、エアコン、照明、扇風機、ストーブ、リモコンがついている物ならなんでもですが、自由にボタンを記憶させることができるのだ。ものすごい! 何種類かの家電のリモコンをひとまとめにして同居させられる。なんとそれが驚きの500円という。安心の中国製である。ギャンブル。

 

これは買うしかない! と鼻息を荒くして購入したものの、やはりというか当然というか、私のテレビには使えなかったのです。うーむ、まさかソニーに対応してないとは。そんなことあるー? ハイセンスとかサムソンなら対応するのかなあ。で、テレビについては使えなかったのですが、ケーブルテレビのSTB(セットトップボックスというケーブルテレビを操作する箱みたいなやつ)はパナソニック製で、こちらには対応している。

 

しょうがなくケーブルテレビのリモコンをコピーしてもう一個つくることにした。一応できたものの、ケーブルテレビからテレビを操作するのはちょっと面倒くさいわけで、そもそもケーブルテレビのリモコンは壊れていないからべつにいらないんだけど。あと、うちの照明やエアコン、扇風機にも非対応でした。なんで買ったの、という感じになっている。商品自体はとても便利だと思います。使えれば。

 

 

 

▼映画の感想『オールド』を書きました。『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督作品です。やっぱりシャマランは何をやってもシャマランっぽいな。それがいい監督なのかもしれないけど。不可思議なプライベートビーチに閉じ込められた家族の話です。私は好きでした。