玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

ガチャ

▼あっという間に4月も後半。何かこう目に見える成果が欲しいな。ロッテの佐々木朗希投手は28年ぶりに完全試合を成し遂げた。さらに次の登板でも、8回まで再び完全試合という前人未踏の記録を打ち立てた。その間に、私が成し遂げたこととは何か。新しい調味料を買ってみたんです。トムヤムクンソース。今まで和洋中だけだったが、ついに東南アジア風の料理が食卓に並ぶ。料理に幅がでた。しかし、これがまた、ちょっとクセがあってねえ。苦手かもしれない。

 

大量のトムヤムクンソースの処分に困っている。4月の成果はこれだけ。

 

 

 

▼佐々木投手といえば甲子園の切符をかけた岩手県大会で決勝まですすみながら、登板しなかったことが話題になった。相手は強豪の花巻東で、佐々木投手を擁する大船渡は花巻東に2-12で敗れた。決勝で国保監督は、佐々木投手の将来を考えて登板させなかった。国保監督の決断は当時、世間からかなりの批判を浴びた。

 

佐々木投手の投げるところはもちろん観たかったし、残念には思った。だけどチーム事情を知るわけでもないし、そういう決断は当事者以外が口をさしはさむべきものではないのだろう。ただ、当時のチームメイトはどう思ったのかなと考えることはある。佐々木投手のようにプロ入りして活躍することが当然と思われている選手がいる反面、ほとんどの選手はプロ入りできず、脚光を浴びることもない。大学や社会人で野球を続ける人もいるだろうが、高校がピークで野球を終える人も多いだろう。誰もかれもがプロに行くわけではない。

 

佐々木投手はプロでも珍しい28年ぶりの完全試合を達成した。今後、メジャーに行って、さらにすごいことを成し遂げるかもしれない。国保監督の決断が正しかったのかはわからない。花巻東戦に登板し、ケガをせずに勝ち上がり、甲子園で優勝したという未来も存在したのかも。何が正しかったかは誰も知ることはできないが、今回の完全試合国保監督や当時のチームメイトたちにとって少しでも、あの日の決断を前向きに受け止められるものになればと思う。

 

 

 

▼4月に新人が入社してくる直前、知人の会社では毎年コンプライアンス研修がある。でも、予算が確保できなかったのか今年はなかったとか。その代わりに従業員たちから「言ってはいけない言葉」というのを集めて、それが印刷されたものが配られたという。

 

パートナーや配偶者がいるかなどは訊いてはいけないし、子供の有無や出産の予定なども訊いてはいけない。ゲーム会社だからか、禁止された言葉のうちに「ガチャ」というものが多かった。「今年の新人ガチャはハズレだな。リセマラしたい」などは駄目らしい。ソーシャルゲームなどは最初に強いキャラをくれるガチャを引かせることがある。リセマラというのはリセットマラソンといって、気に入ったキャラが出るまでアプリを再インストールし続けて、キャラを引きなおす行為のことです。当然、現実世界に新入社員のリセマラなどない。新入社員にとっても、同僚ガチャや上司ガチャがハズレでも受け入れるしかない。普通はUR上司やSSR上司など引けないし、そもそも会社ガチャそのものがハズレということもある。

 

しかし、言葉だけを禁止するということは本当に意味があるのかなとも思う。信頼関係があれば、多少言葉を間違えても許されることもある。本当に重要なのは相手を信頼したり、思いやることかもしれないが、まずは言葉からだけでも良くしていこうということなのかな。外を整えれば、いずれは中もその理想に追いつくという。

 

私はつい良くない言葉を使ってしまう。「この取引先ガチャ、ゴミしか入ってない」などといってしまう。いい歳をしてガチャという言葉を使うのもみっともないなと思う。なにせ、わたくし、老害ガチャで出たUR老害ですので。引き直したい、人生ガチャを。次は大谷選手か、エマ・ワトソンあたりでお願いしたい。