玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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iPod、今までありがとう

▼3月3日、今日は楽しい雛祭り。特にやることはありません。母の子供の頃は家が貧しかったため、雛人形は飾れずに長い紙を台の上に敷き、そこに紙の雛人形を飾ったという。そういうセットが売っていたのだとか。クラスにお金持ちの子がいて、紙の雛人形をバカにされて、頭にきてその子の家の雛人形を食べたとか、そういう話があれば面白いなと思って訊いたら「みんな貧しかったから誰も雛人形なんて持ってなかった。紙のお雛様も持ってなかった」とのこと。あ、そうなんだ、ふーん‥‥てなりました。訊いた私が悪かった。

 

私の子供の頃、父方の伯父から五月人形をもらった。ずいぶん立派なものだった。だけど、私がまったく人形に興味を示さないことと両親とも面倒くさがりなので、小学校に入った頃には人形を出さなくなった。なにせ人形を見ても、感情が「無」の子供だった。両親も張り合いがないだろうな。サービス精神の欠如した子供だった。「すごい、すごーい! 立派な五月人形だね!」と練習しながら、これから駅に向かいたい。

 

 

 

▼バッテリーのもちが悪くなったiPodをごまかしごまかし使っていたが、ついに5,6時間充電して20分ぐらいしか聴けなくなってしまった。ヨヨヨ‥‥。2004年に発売したモデルをすぐに買い、ほぼ毎日聴いていたと思う。2022年まで18年も使ったことになる。天寿を全うしたといえるのでは。お墓を建てたい。守護霊となって私を見守ってほしい。

 

 

だいぶ前の製品なので、正直なところちょっと重たかったし、wavファイルが再生できないなど不便なところもあった。それでも操作性はよいし、気に入っていた。古臭くなったデザインに周囲からは「江戸時代のですか?」とからかわれていた。そういうやつを殴る鈍器としても使用できた。重いんで。

 

これだけ長く使うと愛着が湧く。バッテリーを交換すればまだいけるのでは。修理費用を調べると、高い人だと3万円ぐらいかかったというのもみた。3万かー。

 

 

 

 

結局、3000円ぐらいで新しいやつを買ってしまった。今はそんな値段で買えるのだな。iPodは当時5万ぐらいしたような。今度買ったものは音楽が聴けるだけでなく、動画、画像、電子書籍、録音、ブルートゥース、ラジオ、アラーム、ストップウォッチなどの機能もついている。これだけできて3000円とは。たしかに私の古いやつ「江戸」っていわれてもおかしくない。「石器時代」といわれないだけマシかも。思い出してみると穴が開いた石のお金を転がして、隣村まで行って買ったような気もしてきた。

 

新しいものはボタンが敏感すぎて操作がしにくいけれど、それ以外は満足している。18年も経つと隔世の感がありますね。刑務所に入る人とかたいへんだな。出てきていきなりネットやスマホが当たり前の世界になっていて、ついていけないのではないか。変なところを心配してしまった。

 

※2023/1/13に壊れました。1年弱の寿命。安いとはいえ短い人生だった。

 

 

 

▼「瑠璃色の地球」(ナターシャ・グジー)

 

 

チェルノブイリの原発事故によって故郷が失われ、ウクライナから日本へ来たナターシャ・グジー。「瑠璃色の地球」は中森明菜が歌ったものが好きでしたが、このバンドゥーラという民族楽器での演奏もいいですね。この人が歌うと、母国語ではないのに完全に詩を理解しているように見える。そう思わせることが、曲を自分のものにしているということなのかも。

 

ロシアはウクライナを制圧するかもしれない。しかし、たとえウクライナを占領しても世界から失った信用は取り戻せないだろう。経済制裁によって国民は困窮するのが目に見えている。人命も信用も失った先にあるのがソビエトの復活なのか。またパンを買うのに何時間も並ぶ時代がくるような気がしてならない。なんの成果もあげずに撤退というのは、面子がつぶれるからできないだろうけど、その面子のおかげで多くの人が国を追われ、亡くなりもする。

 

今、ウクライナでは18~60歳までの男性は出国禁止だが、本当につらいだろうなと思う。人を殺すのも殺されるのも嫌という臆病な人はどこにでもいるだろう。私もそうだけど。そういった人は国内でかなりつらい思いをしているのではないか。同胞のウクライナ人からも非難されそう。国が滅びるかの瀬戸際で何を甘いことをいっているんだといわれれば、そのとおりです。それでも戦うことがどうしても嫌な人はいるだろうな。少しばかり寄付をした。