玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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業務の改善

▼今年のバレンタインは6個。かつてないほどの豊作。コロナワクチンの予約を手伝った75歳以上の方々から頂いた。仕事関係の方からも頂いた。パッケージにでかでかと「業務用」と書かれている。チョコもらって勘違いしてストーカーにならないように、という配慮を感じる。カカオがたくさん入っている高いチョコより業務用のチョコが舌にあう。

 

 

 

▼打ち合わせは業務フローの改善が議題だった。私はべつの打ち合わせが入っており、途中で出た。後日、卑屈くんが寄ってきた。「昨日の打ち合わせの話ききました? 盛り上がりましたよお!」と喜びを抑えきれない様子。卑屈くんが喜んでいるときは誰かが悲しみの涙を流しているとき。その喜びが多ければ多いほど悲しむ者の傷は深い。ザ・厄病神。昨日の打ち合わせがだいぶ荒れたらしい。

 

新人の出木杉くんが業務改善を提案したが反対にあって場が紛糾したのだとか。メールで送られていた資料をみたが業務をより効率化する提案に思えた。なぜ反対にあったのかよくわからなかった。卑屈くんによると出木杉くんは「今までのやり方は間違っています。正しいやり方を考えてみました」といって説明を開始したらしい。率直な言い方。業務部にしてみれば、今までのやり方に問題があるのはわかっていても、自分たちのやり方があからさまに否定されたようで面白くないだろう。説明を終える頃には険悪な雰囲気となっており、質疑応答で怒鳴り合いになって業務部の責任者が席を立って出ていってしまった。場はものすごい空気になったという。

 

完全に乗り遅れた‥‥。他の打ち合わせなんて出るんじゃなかった。それほどもめるのは4年に1度ぐらいでは。私にとってのオリンピックが終わってしまった気分。もう何を楽しみに生きていけばいいのか。それで出木杉くんと会ったとき、死んだ魚のような目をしていたのだな。頼むからもう1回もめてくれんか。

 

正しいことをいって通るぐらいなら、世の中、貧困も戦争もないように思う。関係部署になんの根回しもせずにいきなり提案をもっていくのも無謀に思える。少し前なら喫煙所で世間話をしながら、なんとなく反応をうかがったり、相談をもちかけたりということもできた。私は喫煙者ではないけれど、あれはあれで便利な空間だった。業務部の責任者はすこし難しい人で気も短い。新人にいわれたのも腹が立ったのだろう。業務改善は従来のやり方を変えるものだから、現場の反発が大きい。ある程度、現場に発言力がある人がやったほうがいい。だから本当は新人ではなく業務部の責任者がやるべきことだろう。

 

本来、新人もベテランもどうでもよくて正しい提案が評価されるべきなのは当たり前のこと。感情的になるのもおかしいし、ペコペコして根回しするのも本来はおかしい。でも人が感情で動くことを無視して正論を押し付けたところで、はたして話を聞いてもらえるかというとそれも難しい。正論で話が通じる論理的な人ばかりではないし、むしろ通じない人も多い。それを人のせいにしても始まらない。提案に自信があるなら、それが会社の利益になるのなら、どうやって提案を通すかにもっと心を砕いてもいいように思う。

 

過去に自分も似たような失敗をしていると、ちょっと微笑ましく見える部分もある。まっすぐで羨ましい気さえする。失敗をすることに多少の意味があるとすれば、他人の失敗を許せるところかもしれない。早く出木杉くんに会って「この前、あの人怒らせたんだって? やるねえ」と冷やかしたい。思えばそれは私がやらかしたときに元上司が私にかけた言葉だった。あのときは、私を励ますためにおどけてみせたのだと思った。でも、今考えると単に面白かったのでは。本当にねえ、ただ面白いんですよねえ。励ましたいとかじゃなく。今度は私の目の前で頼む。

 

 

 

▼レンジでできるチーズ蒸しパン。

コンビニで売っているぐらいの美味しさ。家庭でできるとは。今まで蒸しパンは鍋に水を入れて作っていたけれど面倒でした。レンジでできるのが嬉しい。時間が経つとパサつくのも気になった。これはチーズと卵が入っているからか、パサつきもないし美味しかったです。チーズはレシピより気持ち多めのほうがいいかも。

 

 

 

▼映画の感想『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』を書きました。ゲーム実況のさきがけとなったよゐこ 有野さんの『ゲームセンターCX』の劇場版です。1980年代に子供時代をおくった人には懐かしい作品かも。