玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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AI

▼バタバタしている間に12月中旬。心の故郷 業務スーパーでは来年用の大きなカレンダーを配っていた。業務スーパーファンとしては見逃せない。日付だけが書かれている無骨なデザイン。額に入れて飾ろうかな。

 

業務スーパーでは日本にはない変わった味のお菓子が売られている。日本のお菓子のほうが口に合うのだけど、ついつい買ってしまう。買って、毎回「なるほど‥‥これはもういいな」となる。買って良かったと思ったことは一度もない。だが買い続ける。いつか当たりが引けるかもとか、そういうことではない。ハズレとわかっているのだけど買ってしまう。業務スーパーの海外菓子を1種類ずつ入れた詰め合わせを売ってくれないだろうか。毎回、最初の1個で「もういい」となるので。残りはお世話になっている会社で「めちゃくちゃうまい菓子買った」と、ばら撒いている。

 

隣席のTさんから猫のカレンダーをもらった。「いつも微妙な味のお菓子をくれるので」とのこと。微妙なお菓子が猫に化けた。嬉しや。わらしべ長者として生きていく。

 

 

 

▼前から不思議に思っていたことがあった。企業や政府のパソコンがウイルスに感染したり、ランサムウェアの攻撃を受けることがある。いまやどこでもウイルスセキュリティは完備している。あまり詳しくない人間が標的にされるにしてもソフトが入っていれば普通は感染しない。なぜ引っかかるのだろう。怪しいexeファイルを実行するか、URLを踏むか、マクロを走らせなければそうそう感染することはないと思っていた。

 

最近読んだ本に書いてあったが、巨大企業や政府を攻撃するときは新種のウイルスやマルウェアを作るという。ウイルスセキュリティソフトというのは、ウイルスやマルウェアの特徴を記録した標本のようなものが入っている。怪しいファイルを見つけると、そのデータベースと照合して「これは危険」と見分ける。つまりそのデータベースに登録されていない新種のウイルスにはまったく効かないんですね。対策を講じようがない。型がデータベースに記録される前に攻撃してしまうゼロデイ攻撃が行われるという。ようやくわかった。

 

今はAIを使ったウイルスセキュリティも登場している。サイランス社のサイランスプロテクトという製品がそうで、パソコン内の隔離空間で怪しいと検知したファイルを実行し、その挙動からAIがウイルスかどうか見分けるという。ゴリラ部長の3000倍かしこい。「なあ、これウイルスかなあ? ためしにおまえのパソコンに転送してみたけど」などと言うからな。送ってくんな。やはりゴリラにパソコンは早かった。ゴリラにはバナナでいいんだ、バナナで。

 

 

 

Amazonで本を探していたら、アイドルの写真集のレビューにたどりついた。そのアイドルはデビューからだいぶ成長して、今は雰囲気が変わったらしい。レビューも「あの頃の君はもういないね。でも今の君も好きだよ」と書かれていて、うーん、こりゃ相当面倒くさいファンを抱えているというか、アイドルは大変なお仕事と思いました。この気持ちの悪さ、この日記にどうにか活かせないか考えている。

 

 

 

▼AIについての本が面白い。以前、AIに東大受験をさせるプロジェクトがあったが国語が合格点に達しないということで断念したというニュースがあった。どういうことかわからなかったが、今はなんとなくわかるような。

 

以前、Google翻訳では「太郎が花子を家に招待した」という文を訳したとき「Taro invited Hanako to her house」と訳したことがあったという。人間ならば、太郎が招待したのだから、その家は当然太郎の住む家という常識がある。だからhis houseと書けるのだがAIにとっては明示されない限り、それが誰の家かはわからない。そんなことどこにも書いてませんけど、と思ってしまう。

 

人間には当たり前でいちいち考えないが「招待する者はその家の所有者か、その家に住んでいる者」という暗黙の了解がある。AIにはこの暗黙知がない。一つの文を翻訳するだけならば、このルールを定義することはできるものの、膨大な量の暗黙知をすべて定義することなど不可能に近い(フレーム問題)。暗黙知や常識を理解していないと国語の問題は解けないことになる。

 

AIがこれらを理解するのがいつかはまったく見通しが立ってないらしいですが、人間がそこまで複雑な処理を行っているとは到底思えないわけで、一足飛びに理解するようなブレイクスルーが訪れることも考えられる。研究者がつきっきりで、AIを自分の子供のように教育して学ばせるとか、AIに感情を持たせるとか、そういう方向で解決できるのだろうか。私の文章を学習させて、いかにも私が書きそうな日記なども書けるようになるかもしれない。読んでみたいな。

 

 

 

▼映画の感想『ハウス・ジャック・ビルト』を書きました。連続殺人犯の映画。久しぶりに出た苦手な映画。本当にもう観たくないやつという。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラース・フォン・トリアー監督作品。いつかわかる日が来るのかなあ。