玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ルンバを持つ男

▼お掃除ロボット ルンバを買うか迷う。ルンバを持っている友人が言うには、ルンバが本当に便利というわけではない。ただ、ルンバを使うためにはルンバが問題なく動き回れるよう、部屋は片付いてなければならない。だから自然に物を片付けることになる。物が片付いていれば、それだけで部屋はそこそこきれいに見えてしまう。つまり、ルンバが活動できる状況になったとき、掃除はすでに完了しているとも言える。

 

「なんだその話。禅?」「違う」と即答された。クールなのね。「私がルンバを見つめるとき、ルンバも私を――」「違う」と遮られた。ルンバを持つ男は、人に最後までしゃべらせない。そういうところがあるんだよ、ルンバを持つ男は。

 

 

 

▼お寺のサブスクというニュースを見た(CHUKYO TV NEWS)。

 

月額3300円で、すべての法要や供養、お墓の掃除、管理までしてくれるサブスクリプションサービスが登場した。寺との関係も変わってきた。昔のような寺と檀家の濃密な付き合いというのも減った。みんな忙しくなったというのもあるのだろう。親族が集まるのも、お墓まで行くのも、墓の掃除も、檀家の付き合いもみな大変なこと。それに墓は高い。お手頃なサブスクが登場したのも自然な流れなのだろう。

 

テレビで観たとき、お坊さんが「消費税込みで3300円」と紹介したのが気になった。坊主丸儲けというように、寺や神社は税金がかからないと思っていた。国税庁発行の「宗教法人の税務」を見ると墓地・霊園の管理料は課税対象になっている。これは少し意外だった。寺や神社でも収益事業にあたるもの(幼稚園や駐車場の経営など)は一般企業と同じく課税されるのは当たり前だが、墓地・霊園の管理は不課税だと思っていた。なるほど。しかし、お坊さんが税金のことをちゃんとしているとか、サブスクを始めるとか、いいことかもしれないが引っかかるものはある。サブスクから一番遠いのが寺だろうよ。

 

以前、どこかの寺で「生前に戒名を付ける場合、半額サービス」というのをやっていた。サービスされるのも何か違う気がするのだ。どうも商売の香りが強すぎる。サブスクの場合、料金滞納したらどうなるのだろう。収めた遺骨をばら撒かれたりするのだろうか。景気よく撒いてほしい。これからはサブスク寺が増えていくのかもしれない。

 

 

▼映画の感想『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』を書きました。豪邸で起こる殺人事件という、今では珍しくなった本格ミステリーを思わせる作品。陰惨さなどはなく、どことなく懐かしささえある。こういう古き良き殺人、大事にしていこ。伝統芸能として保護したい。名探偵ブノワ・ブランに『ジェームズ・ボンド』シリーズのダニエル・クレイグが扮しております。シリーズ化してほしい。