玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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序列

▼台風。やけに蒸し暑い。

 

ガス台の五徳が一本折れ曲がっていたのを直す。いつ曲がったのだろう。どうも鍋が傾くと思っていた。ペンチで捻じ曲げたらきれいに戻った。今日やった労働はこれだけ。あとは息を吸って吐いて吸って吐いてここに至る。

 

週に一度プリンを作っている。今日はプリンの日だった。黒糖が余っていたので黒糖プリンに挑戦してみるも失敗。カップからプリンを取り出してみると、プリン液が固まりきらずに半分ドロドロのプリンが出現した。

 

 

「腐ってやがる‥‥まだ、早すぎたんだ」というクロトワの気持ちがわかった。プリンはべつに腐ってないですけど。黒糖は使い方が難しい。牛乳メーカーのサイトを見たら、黒糖や三温糖などカルシウム、ミネラル分が多い砂糖を加えて加熱すると、牛乳中のたんぱく質が凝集し、凝固することがあると書いてあった。プリンは牛乳臭く、卵は液体のままだった。牛乳だけ先に固まったのかもしれない。オーブンでしっかり焼けばきちんとできるのかもしれないが、簡単電子レンジレシピだったので固まりきらなかったのだろう。

 

成功するまで黒糖プリンを作り続けるか、あっさり別の物を作るかで、職人になれるかどうか決まるのではないか。めげずに挑戦し続ける粘り強さが人を何者かに変える。私はあっさり別の何かを作ろうとしている。何者にもなれずここまで来た。

 

 

 

▼文明を進歩させてあれやこれやするシミュレーション『シヴィライゼーションⅥ』に手を出してしまった。ついにである。レビューを見るとプレイ時間1000時間超えの人も続出。はまるときりがないんだよな。「留年しました」という一言だけのコメントも。破壊力がありすぎる。チュートリアルでクレオパトラを滅ぼしたけれど、その1時間で満足したところもある。うーむ、面白いのは間違いないのです。やるべきか否か。まあ、やるんでしょうけど。

 

 

 

▼友人Nと雑談。彼はモデルナワクチンを会社で2回打っている。今まではリモートワークでよかったものの、2回打った人は出社するようにと会社から催促されている。ラッシュが嫌で、リモートワークに慣れた今となってはもう出社したくないという。わかる。

 

Nの会社は、管理職以外すべての人がリモートワークとなった。会社の電話はIP電話でインターネットを使っている。リモートワークをしている社員は家庭のパソコンに専用のソフトを入れる。そのソフトによって、会社に掛かってきた電話は各社員の自宅パソコンに転送され、電話を受けることができる。

 

一見、便利なはずの転送電話ソフトだが、社員が誰も会社宛ての電話に出なくなってしまったという。原因の一つはソフトの不安定さで、出た瞬間に切れることがあるらしい。ソフトの不具合はなかなか直らない。もう一つの理由がまた問題なのだけど。会社というのは同じ平社員であっても必ず序列がある。知らない会社に行っても、電話を最初に取る人が一番下っ端ということがすぐにわかる。みょうなもので「あいつがまだ電話取ってないから、俺、取るのやめとこ」ということがある。序列はそこに現れる。

 

ところがこのソフトだと誰が電話をとったかもわからない。また、リモートワークだとトイレや用事で席を外しているとか、同僚の様子がわかりにくい。つまり、自分より下っ端のアイツが取ったかどうかわからない。その人が席を外していれば、自分が一番下っ端ということだってある。結果、誰も電話をとらなくなり、出社している管理職が電話対応に追われて激怒しているという。わはははは。下々の苦労をたまには味わいなさいよ。リモートワークで万々歳だと思っていたらいろんな弊害があるのだな。

 

別のソフトを入れて、電話番を決めるとかでうまく対応できないものなのかな。いろいろと難しい。