玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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彌生

▼偏頭痛の日。目の裏から頭の右奥に抜ける痛み。右の奥歯までもなぜか痛む。高校ぐらいから断続的に続いている。痛くて何も手がつかない日というのが3カ月に1度ぐらいある。父も若い頃、頭痛持ちだったという。だが大人になったら治ったらしい。ということは、私はまだ子供なのだろうか。子供だし、頭が痛くて他に何もできないのだからとゲームをやった。10時間ぐらいやった。頭痛とか、嘘では。

 

 

『TELL ME WHY』というアドベンチャーを終え、今度は『FAR CRY3』に手を出した。もらったので。典型的なFPSです。アメリカ人は本当にこういうの好きよのう。南の島にバカンスに来ていた仲間たち。「親父のブラックカードにカンパーイ!」なんつって、親の金でバカ騒ぎをし、スカイダイビングをしてみたら海賊の縄張りに落ちてしまい人質になってしまう。そこから仲間を助け出すゲームです。

 

最初こそプチプチとスナイパーライフルで海賊退治にいそしんでいたものの、隠密プレイは時間がかかるし飽きた。今や挨拶代わりに手榴弾を投げ込んだ後に、正面からロケットランチャー担いで「どりゃああああ!」と突撃している。シュワちゃんである。雑で楽しい。仲間を3、4人助けるのが目的だが、そのために海賊を1000人ぐらい殺している。ま、いいか。陽キャだし、気にしないでいこう。考える前に撃たないとこの世界では生き残れない。

 

現地人から受けられるクエストがあるのだけど、ときどき変なものがある。第二次大戦中、この島は戦争の舞台となっており、ところどころに日本兵の遺骨がある。その遺骨が付けている認識票を集めてこいというもの。認識票を日本へ送って遺族と交渉し、遺骨を高額で送り返す商売をしようというもの。クズやないか。なんでそこだけみょうにリアルっぽい設定にしたのか。変なこだわりを感じる。

 

エログロバイオレンスなFPSでテンポよく進めて楽しい。でも、一か所詰まったところがあった。海賊のアジトを探すミッションがあるが、入り口がよくわからない。遺跡から入るのかとあちこち探していた。石で塞がっている場所はロケットランチャーやC4という爆弾で破壊できることがある。で、遺跡の壁が崩れそうなところに爆弾をしかけまくったが開かなかった。親父のカードでクラブで豪遊しようとも、ドラッグを楽しもうとも、海賊を容赦なく殺そうとも、遺跡をぶっ壊して道が開けるなんて展開をアメリカ人は許しそうもないんだよな。「やっぱり違うかー」と納得した。そういう倫理観はあるんだよな。「海賊の司令官をナイフで殺せ」というミッションは当たり前にありますけど。入り口は、ごく普通のところにありました。

 

ゲームをして1日が終わる。

 

 

 

▼知人の子が図形の丸を描けるようになったという話を聞く。2歳ぐらいなのかな。落書き帳は丸の絵ばかり、公園に連れて行っても地面にひたすら丸を描いている。あまりに丸ばかり描くので「△を描いたら」とか「☆はこうやって描くんだよ」とか違うものを教えようとするとキレるらしい。難しいお子。丸がいいのだな。同じものを描きたくなる時期というのがあるのだろうか。画家は好みの題材があるのが普通で、静物画ばかり描く人もいれば、動物ばかり、美人画ばかりの人もいる。画用紙に描いた丸を見せてもらった。大小の丸が画用紙一面にびっしりと埋まっており、不思議な圧迫感がある。草間彌生じゃねぇか。怖い。

 

検索したらネットの悩み相談に似たような投稿があった。子供にはそういう時期もあるらしい。やがて丸から人の顔になっていくという。中にはスケッチブック一冊全部丸の子供もいるが心配しなくていいとか。それを知人に伝えると「うち、もう3冊目」とか。なるほどー。彌生はもう3冊目かー。将来、芸術家になるのでは。気持ち悪いオブジェをたくさん作るようになるのでは。温かく見守りたい。

 

 

 

▼元気の押し売り、社交性の化け物といえば友人A子。居酒屋でたまたま隣に座った客から仕事をもらったときは驚いた。酒場で仕事を見つけるのはゲームの冒険者だけだと思っていた。そんな陽気なA子も落ち込むことがあるのだな。声がくぐもり、少し泣いていたのかもしれない。実家の犬のキョウちゃんの具合が悪いという。20年近く生きており、腎臓が悪くなったようなのだ。

 

なにかしんみりとし、キョウちゃんの思い出話を聞いてしまう。キョウちゃんは誰にでも、飼い主にさえもかみつく凶暴な犬で「狂犬」と恐れられていた。それでキョウちゃんと名付けたという。いや、その話、今いるー? その話で涙声になられてもと思いました。どうかお大事に。