玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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丁寧すぎる人

▼『爽』や『MOW』のカップアイスが好きで以前はよく買っていた。だが、40歳を過ぎてから1個全部を食べきるのがつらくなってきた。今は分割して食べられるモナカ『モナ王』や『チョコモナカジャンボ』などを買って、2ブロックとか4ブロックとか手で割って食べている。

 

モナ王を 割って食べる 夏の夜

 

無駄に一句詠んでしまった。おじいちゃんなので、隙あらば詠んでいきたい。そういえば、大人になったらお菓子を食べなくなると思っていたが、そんな気配が全然ない。これからお菓子卒業期が訪れるのか、このまま行くのか。このまま行きそうな気がする。なんなら、ご飯を食べずにお菓子ばかり食べる時期がくるかもしれない。恐ろし。

 

 

 

▼市からワクチン接種予約の電話連絡が来た。WEBで一回目の予約はできたが、二回目は何度サイトを見ても予約できなかった。ワクチンがいつ入るのかも明示されていない。普通の商品ならば、入荷したら欲しい人全員にメールを飛ばせばいい。だけどワクチンでそれをやるとアクセスが集中してサーバーが落ちる恐れがある。それに、ごく一部の人しか予約はできないだろう。クレームもきそうだし、対応に時間をとられるのも惜しい。だからメールを全員に飛ばすのは難しいのかな。今までは、アクセスしたときに運良く在庫があったら予約できるシステムになっていた。運が試されている。

 

しかし、やり方が変更されたようなのだ。サイトを見ると、市の方から電話連絡して予約を取るという方式になったらしい。電話を毎日掛けられて「ワクチンがまだ届かない」と対応するのはお互いに時間の無駄だ。入荷したら市から連絡するほうが効率が良いと判断したのだろう。試行錯誤して、いいやり方を見つけていくしかない。行政の人はこの時期は本当に大変だと思います。おかげで二回目の予約が九月末にとれた。

 

市なのか保健所なのか専門のセンターなのかわからないけれど、ワクチン予約の担当者は過剰とも言えるほど腰が低く丁寧だった。ひょっとして、過去に私のことを一度轢き逃げしたのでは? それぐらいの丁寧さ。その丁寧さが、今までいろんな人から怒られてきたことをうかがわせて、気の毒になってしまった。対等でいいと思うのだけど。

 

役所の仕事がお役所仕事と言われ、せっかく役所に行ったのにたらい回しにされたというのは、子供の頃にはよく聞いた話だった。木で鼻をくくるような対応が当たり前だった。それがいつの間にか改善されている。いつからかきちんと挨拶するようにもなったし、サービス業のようになってきている。以前の無愛想さからの揺り戻しだろうか、過剰になっている感じすらある。市民も昔にくらべて、おかしいことはおかしいと主張するようになったのだろう。それはいいことだと思う。だが、行き過ぎている面もあるのかな。怒れるところがあれば怒っておこう、怒らないと損だ、ぐらいの勢いで怒る人もいる。ストレスが溜まっている人が多いのだろうか。

 

小学生時代の担任に、タツ(仮名)という名前の女性教師がいた。当時で50歳ぐらいだったと思う。彼女は本当はタツ子という名前になる予定だった。お父さんは「タツ子」で出生届を提出したが、役所の担当者が「『子』というのは上品な家の子供につけるものだから、おまえの子供は『タツ』でいい」と、勝手に「子」をとられたのだという。とんでもない奴がいる。

 

父親はそれを受け入れて、すごすご帰ってきたそうで、その教師はタツになってしまった。それが許せない、あの職員が憎いと、50歳を超えてなお、その先生は怒っていた。わからんでもないけど。「毎年その怒りを教え子にぶつけてるのかな」とうっすら思った。タツ先生、お元気でしょうか。バイタリティ溢れていたので、ギリ生きてる気がする。

 

役所の人間が偉そうという時代はたしかにあった。今はそこまでへりくだらなくてもという気がする。対等でいいじゃないの。