玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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電子レンジ

ミニトマトは虫に食われるし、電子レンジは壊れる。

 

せっかくなったミニトマトの実に穴が開いていた。ヨヨヨ。黒き虫を退治。そして使い続けて20年のナショナルの電子レンジが壊れた。ヨヨヨヨヨ。温めだけではなく、パン、ケーキ、クッキーも焼ける頼もしいやつだった。チーズケーキもパウンドケーキもこのオーブンレンジで焼いた。正直なことを書けば、遠くの親戚が亡くなるより悲しい。墓を建てて供養したい。

 

私の父は家電にはまったく詳しくなく、新機能や性能にも興味はなかった。電気屋へ行けばたいして商品も見ず「この店で一番高いのをくれ」と言って買っていた。その買い方が成金ぽくて、下品な気がして恥ずかしかったのを憶えている。だが、父の買い方に不満を覚えても、その父によって扶養されている事実があり「自分の批判はまったく力を持たないものだな」とうっすら思った。壊れたオーブンレンジも近所の量販店でそうやって買ったものだった。高いだけに物は良かったのかもしれない。

 

父は私が産まれる少し前に会社を興し、出産後に倒産させている。ある日、裁判所の職員がやってきて家の家具に差し押さえの赤札を次々と貼っていった。赤ん坊だった私は家に人が遊びに来てくれたと勘違いし、喜んでいたという。アホで不憫な子よ。今もあまり変わってませんけど。当時、だいぶお金に苦労したと母から聞いた。お金の苦労があったからこそ、多少余裕ができたとき「この店で一番高い物を」という買い方をしたのだろうか。父の買い方は、お金に復讐しているような不思議な心持ちがした。粗大ごみに出す前、オーブンレンジを掃除した。もう十分働いてくれた。

 

 

 

▼なにやらしんみりした心持ちかといえば、特にそんなこともないんですけど。なにせ暑いんだよ。地域によっては40度とか。地獄の始まりである。

 

新しく始まる仕事で、新人と組むことになった。履歴書を見たところ資格の欄に「コロナワクチン1回接種済み」とある。それ、資格なのか。もはやワクチン接種が資格となる時代か。実際、ワクチン予約はなかなか難しい状況で変な資格より効果があるかもしれない。イルミネーション検定より使えるかもしれない。私も資格欄に早く書きたい。

 

『Tell Me Why』や『Civilization6』という面白そうなゲームが以前から手元にあるのだけど何か月も手を出してない。中学生の私なら徹夜でやったのだろうな。は! まさか、これが老い!? そうかもしれない。単にオンラインゲームの『原神』をやっているからだろうか。エンドコンテンツといわれる深境螺旋12層で無課金☆9クリアができない。もう少しなんだけど。できたら、それはそれで問題。おまえ、熱心にやりすぎだろという。

 

ユーザーフォーラムのような場所があり、そこでいろんな人の攻略法を見る。子供の頃にやった買い切りのゲームだと攻略法は決まっていた。みんな条件が一緒なんですね。オンラインゲームの場合、みな所持キャラが違ったり、育成状況が異なったり、アイテムを所持していたりで条件が違うのだ。だからか「○○のキャラが育っていれば」とか「××を持っていたら」とか、相手の状況に配慮したアドバイスが行われる。もちろん腕の差という要素もかなり大きいのだけど。

 

相手が自分と同じではないという前提に立てている。今の人の方が、同世代の人間よりも押しつけがましくなく、多様性への理解もあるように感じる。オンラインゲームなどの影響もあるのだろうか。環境の差が多様性への理解を与えるのかな。などと思いつつだらだらゲームをしてしまうな。

 

 

 

▼映画の感想『ロスト・マネー 偽りの報酬』を書きました。女たちの強盗。