玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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!?と?!

ミニトマトは育ち、大谷はメジャーリーグオールスターに出る。

 

メジャーリーグ関連の番組を観ることが多くなった。日本のプロ野球ニュースは解説者同士が議論になるようなことはあまりない。二人が同意見で、大谷すごいすごいと言って終わることも珍しくない。反論が出ないのは先輩後輩という縦の序列が強いからかな。アメリカは議論が盛んですぐに反対意見も出る。そうなったとき「私はこう思う」「いや、俺はこう思う」と言い合ってもお互いの感想でしかない。議論を平行線にしないためには誰もが納得する客観的指標が必要で、それで数字を用いるようになったのだろうか。

 

アメリカの番組は選手を語るとき、平均打球速度はいくらだとか、平均飛距離は何フィートだとか、バレル率やOPSを過去の名選手と比較して語る。その比較はスポーツライターやアナリストという専門家だけが用いるわけではなく、引退した選手たちもきちんとデータを用いる。やいのやいの言いながら、きちんとデータを見て議論しているし、データの種類は日本よりはるかに緻密で豊富。アメリカ人の意外な一面が垣間見えるようで面白い。

 

今日はオールスター前日でホームランダービーがあった。初めて観た。制限時間3分とボーナスタイム最大1分が与えられ、選手はその間にバッティングピッチャーが投ずる球を打ちまくる。ケガしないのかなとちょっと心配になる。ホームランダービーの合間に大谷選手あてにチームメイトのトラウトとか、移籍したプホルスとか、電話をかけてくるんですね。プホルスなんて2回もかけてきた。ヒマなのか。休憩は1分程度しかなく、疲れて話す余裕もない。日本人の感覚では、迷惑になるからと遠慮しそうなものだけど、平気でかけてくるのがすごい。そもそもホームランダービーはお祭りで、ゲーム感覚で楽しむものなのかな。それともこの二人が滅茶苦茶なのか。大谷選手は負けたが楽しい催しだった。ホームランダービーの会場クアーズフィールドの観客席が映し出されたとき、マスク姿の人はどこにもいなかった。明日はオールスター。

 

 

 

▼友人A子から怒りのメールが来る。仕事に対して怒っていた。「普通そんなことってある?!」と書かれている。気になったのは末尾の「?!」だった。子供の頃、本で見かけたのは常に「!?」だった。「?!」という書き方は見たことがない。だが、近頃はネット上でも見かけるようになった。どちらでもよくなったのだろうか。

 

「?!」だと、驚きや怒りが「?」の開いているほうから逃げていく気がする。「!?」左のように書けば、「?」の丸い部分に含まれる驚きや怒りが逃げずに「!」でうまく蓋をされるように見える。どうでもいいですか。そうですか。私はそれがずっと気になっており、A子の怒りの内容はさっぱり頭に入ってこなかった。「?!」と書かれたので、怒りが開いた側から逃げ出したのだと思う。

 

怒っているところに「あの『?!』の書き方なんだけど」と返信するほど私も無神経ではない。我慢しよう。1回我慢して返信したが、やはり気になって「ちなみに『?!』の書き方なんだけど、それはいつから」みたいなことを訊いたら「そんなことどうでもいいでしょ?!」と返信があった。いや、その書き方が気になるのだけど。謎は深まるばかり。!?派として生きていく。

 

 

 

▼周囲の人間が投資信託がどうとか、ポートフォリオがどうとか話す中、知人と「無人島で暮らすなら男か女か」と話していた。役に立たないことしか話せない。

 

私は男派なんですよね。男なら力もあるし、脱出するボートやら小屋を作るときによいのではないか。N氏は断然、女だという。「男は臭い」というのがその理由だった。単純明快。だが、同じ条件なら女も臭くなるのではないか。しかしN氏は「男と同じ島なんて考えられない」と譲らなかった。

 

何人かに訊いてみて面白かったのは、私も含めてだけど無人島で暮らす相手を都合よく考えていることだった。異性を選ぶ人は、その相手が美男美女で自分と相思相愛という前提になっていた。相手にだって拒否権はあるし、相手の容姿が美男美女ではないこと(現実ではその方が多い)だってあるはず。だが、それは考えない。ずいぶんと都合がいいのだ。

 

それと私は無意識に無人島から「出ていく」ものだと考えていたが、N氏などは出ることはまったく考えず、そこで一生終えるつもりだった。みな設定を勝手に決めている。ちょっと変わっていたのは入社3年目の24時間くんだった。筋トレが趣味で性格も明るく、容姿も爽やか、ちょっとドジで周囲から愛されている。彼にも「無人島で暮らすなら男か女か、どっち?」と訊いたところ、即座に女を選んだ。理由を訊ねると「無人島で食料がなくなるじゃないですか。そのとき女だったら勝てると思うんですよ。最悪、食べられると思うんですよ」と爽やかに笑った。

 

設定が怖すぎる。サイコパスと仕事をしている。

 

 

 

▼映画の感想『エヴォリューション』を書きました。少年と女性しかいない島で暮らしている妖しげなファンタジー。難解でエロティック。感想も変になってしまった。