玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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蛇に包まれて眠る女

▼夏のような蒸し暑さ。今年初のソーメン、おいし。麦茶を作る。

 

 

 

▼住宅街でアミメニシキヘビが逃げ出したニュースを見る。体長3.5メートル、体重10キロというからかなり大きい。逃げ出してから今日まで200人以上の捜査員で捜索したが見つかっていない。排水溝とか屋根にいるのだろうか。

 

ずっと前に蛇の話をしてもらったことを思い出した。ある女が蛇を飼っていた。子供の頃から飼っていた蛇は大きくなり、今では女は蛇に包まれて眠るようになった。この蛇に不思議な絆を感じていた。だが、ある日を境に蛇は餌を食べなくなってしまった。どこか具合が悪いのか調べるが原因はわからない。数週間様子を見ていたが改善しない。心配になった女は獣医のもとを訪れた。

 

獣医は彼女の話を聞いた後に訊ねた。「蛇があなたと一緒に寝たり、そばで体を伸ばしたりすることはありませんか?」。女は蛇と毎晩一緒に寝ていることを伝えた。「蛇が物を食べないのは、あなたを食べるために胃を空けて準備しているんです。そばで寝るのはあなたの体の長さを測っているんです」と言った。

 

検索してみると似た話が出てくる。ネットでは有名な話のようですね。飼育している蛇は物を食べなくなることは珍しくないらしい。この話はもちろん嘘なのだけど不気味で印象に残っていた。不思議と惹きつけられる話。

 

 

 

▼メルカリの広告でタモリさんと元スマップの草彅剛さんがインタビューを受けていた。草彅さんは撮影の前日、緊張もし、わくわくもしてよく眠れなかったとか。なんとなくわかる気がする。あまりに好きだとか尊敬している人は、会えることは嬉しくても怖くなる。会うのが嫌になることすらある。好きすぎて簡単に連絡はとれないし、自分のために時間を割いてもらうのも申し訳ない。会ってない時間にどれほど成長できたか、つまらない生き方をしていないか、見抜かれてしまうようで恐ろしいのだ。相手はそんなこと考えてもいないだろうが、見抜くときは一瞬で見抜かれる。

 

自分にとって恐ろしい人がいるというのは本当にいいことだし、その恐れは幸せなことだと思う。恐れをまったく知らずに生きている人もいるかもしれないが、それはたいしたことのない人としか接していないか、目が悪いから人のすごさがわからないだけではないか。

 

 

 

▼映画の感想『判決、ふたつの希望』を書きました。初めてレバノンの映画を観た。レバノン人とレバノンに住むパレスチナ人の民族対立の話。根深い民族対立は特効薬になる解決法はない。なんとも重苦しい物語。いい映画ですが、それはそれとして、みんな短気すぎでは。