玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

楽しさを感じる場所

▼ここ2、3日、ベランダにインコが来るようになった。網戸越しなので画像が悪いですね。

 

 

ピーヨピヨと高くかわいらしい声で鳴く。検索してみるとワカケホンセイインコというインド・スリランカ原産の品種で東京、神奈川、埼玉で増えているらしい。鮮やかな黄緑色の体で、長い尾羽と赤いくちばしがきれい。喜んでばかりはいられない。ベランダのプランターに挿している九条ネギがピンチ。狙われているのではないか。だとしたら許さない。

 

「インコ 焼き鳥」で検索している。

 

 

 

▼ゴールデンウィークなのでゲームをやろうかと思い立つ。ずいぶん前にクリエイティバースという箱庭ゲームをやっていた。素材を積み上げて建物や街を作るマインクラフトのようなゲーム。いつの間にか飽きてやらなくなってしまった。

 

 

なんで飽きたのかと考えたが、便利になり過ぎたせいだと気づいた。クリエイティバースはフリーで遊ぶと機能制限があるが、商品を購入すると一切の制限が取り払われる。巨大な建築物を作るときには何万ブロックもの資材が必要になる。資材の中には大量に作るのが難しいものがある。たとえばダイヤ。ダイヤは地下を掘ると出てくるが、それだけだと数が少ない。ダイヤは自然に見つかるだけでなく増やすこともできる。

 

 

タールという黒い液体があって、液体は平地に置くと置いた周囲8ブロックに増える。タールを凍らせてから焼くとダイヤになる。だからダイヤを増やしたい人は巨大な囲いを作って、そこにタールを流し込んで凍らせて焼くことを思いつく。だが、タールを処理する爆薬を作るのも少し手間がかかる。タールの池を焼いても表面しか焼けないので、どうせなら巨大な立方体を作って一度に焼きたい。しかし、タールの深い池を作るには手間がかかる。液体を置くのも大変だし、液体は空中に設置ができない。

 

そこでいろいろ考える。まず普通の池を作ってタールを敷き詰める。池の底の下に巨大な空洞を作る。このゲームは何種類ものギミックが用意されている。池の底のブロックを空白に変換する装置をセットして一斉に起動する。池の底が抜けるとタールは下方向に滝のように流れ出して水槽が満たされる。それを凍らせて爆破することで大量のダイヤがとれる。というような装置を作っていた。うまくいくまで試行錯誤を繰り返す。でも、ソフトを購入したことで機能制限がなくなった。ブロックは無限に用意されている。苦労して装置を作る必要などない。

 

今まではいかにブロックを大量生産するか、敵を捕獲する装置を作るかで頭を悩ましていた。だが全部、無限にあるのだ。なんでもできるようになった結果、なにもやる必要がなくなって一挙につまらなくなった。試行錯誤こそが楽しかったのに。

 

森博嗣さんのエッセイを読んだとき、模型飛行機だかラジコン飛行機を飛ばす話があった。1号機から3号機は1回飛ばしただけで壊してしまい、4号機にしてようやく無事着陸できたという。そのときの嬉しさといったらなかったという。経験者に話を聞けば1号機から3号機を無事に着陸させられたかもしれないが、それだと4号機が着陸したときの喜びは得られなかったのではないかと書いている。

 

成功というのはもちろん良いことだし、それを目指して四苦八苦しますが、実はその過程のほうが楽しいことはある。失敗すらも苦しく楽しいという。ところが、とにかくうまくいくことだけを効率的に追及する人がいる。失敗しないことだけを考えてコツを検索しようとする。楽しさというのは、わりと不便なところに多い気がするのだ。あと、私の話は長すぎるから森博嗣の話だけでいいと思いました。

 

ゴールデンウィークが終わる。

 

 

 

▼いつもweb拍手押してくれる方ありがとうございます。私以外の人間がいることを思い出す。