玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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自転車屋の質が高い

▼新年度早々、自転車がパンク。自転車屋を呼んで修理してらもう。最近の自転車屋はすっかり様子が変わった。連絡すればすぐ来てくれるし、前回いつ修理をお願いしたかというカルテもつけている。今回はパンクでしたが、故障箇所の動画を撮影しており、水にタイヤをつけて空気が噴き出る場面も見せてくれた。さらにパンクの原因となった棘も保管してあり、きちんと2枚のテープで棘を挟んだものをくれた。いらんけど。これだけやってもらって800円という。店員の物腰もやわらかい。非の打ちどころがない。逆に、こんな客ですみませんと思います。

 

サービスのレベルがあまりに高くて恐れおののく。社会がどんどん洗練されていくのを感じる。優れた仕事には敬意を覚えるが、それはそれとしてもっといいかげんな人はいないのかなと思う。このままでは立派な人ばかりになってしまう。積極的に堕落をうながしていきたい。それによって、日本全体の中での私の順位を上げていく。

 

 

 

▼「種類・色・サイズ同じ物用意してすり替えか⋯ 音楽教室で23歳女性講師のパンプス盗んだ疑い 33歳男逮捕」のニュースを読む(東海テレビ)。

 

いけないことだが、たまに感心してしまうニュースがある。単に靴を盗むのではなく、わざわざ同じ商品を調べて買って、すり替えるのだろうか。その手間と情熱に驚く。被害者は音楽教室で被害にあっているが、犯人は靴を盗むために音楽教室に通っていたのだろうか。だとしたらものすごい。私の自転車も盗んでくれればなあ。新品になったのに。

 

自分の変わった性癖と折り合いをつけていくのはかなり大変なのだろうなと変に同情してしまう。靴の修理屋を開けばいいのではないか。修理に出せば新品同然で戻ってくる靴屋。性癖を満足させるために倒産する。生きていくのは難しい。

 

 

 

▼『アンチ整理術』(森博嗣)を読む。

 

 

ちょうど部屋を片付けようと思っていたところで手に取った。アンチと付いているが、天邪鬼な森博嗣のことだから、なんだかんだで片付けのコツを紹介してくれるだろうと思っていたが、本当に片付けない本だった。さすが。

 

まず初めに、そもそも整理や断捨離とは何かを考えてみるべきとある。整理整頓といえば、それがいいことのように考えがちだが本当にそうだろうか。整理や断捨離は目的ではなく、何かをやるための手段にすぎない。自分で何か作業をしており、継続して作業を行うならば片付けないほうが都合がよい場合もある。もちろん、会社などの共同の作業場は他人もいるので別の話だけど。

 

片付けの方法は載っておらず、片付けをすべきかどうか、片付けに限らずすべてのことについてじっくりと考えてみることが提案されている。思えば、森博嗣の本はだいたい同じことが書いてある。自分の仕事や人生について、人に評価を任せずに自分で判断するとか、どこまでも納得がゆくまで考えてみるとか、同じなのだ。同じことが書いてあるのに、毎回読んでしまうな。今回も「ははは、また同じこと書いてある」と思ったが退屈しないで読めた。学習しない読者が多いのだな。

 

結果、部屋を片付けない理由がまた一つ増えてしまった。

 

 

▼映画の感想『アス』を書きました。『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督作品。なんとも独特な世界観を感じさせる変わったホラーでした。