玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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転んだらすぐに乗れ

▼40代半ばになって、急激に体が変化してきた。運動しても体重が減りにくいし、なによりケガが治りにくくなった。以前、膝の裏の関節炎は1週間もあれば完治していた。それが2ヶ月経っても治らず、ちょっと落ち込んでいた。宗教にはまる人の理由がわかった気もする。そりゃ、神にもすがりたくなる。

 

ここ最近は右の二の腕のあたりに違和感がある。体が柔らかいのが自慢で、背中で手を組むことができたが今はそれもできない。かれこれ1か月ぐらいじんわりとした痛みが続いているように思う。特に不便はないものの、衰えを実感させられるようでうんざりしている。右手を前に出して、掌を上向きにするような動きをしたとき二の腕が少し痛むのだ。

 

先日、早起きしなければならない用事があった。目を覚まし、布団のなかでうだうだしていた。このままではまた寝てしまう‥‥そう思ったとき、右腕を伸ばして掌を上向きにすると、軽い痛みで目が冴えた。今はこの痛みを目覚まし代わりにして起きている。これぞ老人力。体の衰えも駆使し、おじいちゃんは令和を生き抜いていく。

 

 

 

▼自分で髪を刈ろうとし、あやまって右耳の上をバッサリ刈ってから2週間。ようやく毛が生えそろってきた。バイク乗りの間では「転んだらすぐに乗れ」という言葉がある。そうでないと怖くなって乗れなくなる。私、バイク乗らないけど。自分で頭を刈る人間にも「失敗したらすぐ刈れ」という言葉があるのではないか。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。ジョージ・クルーニーも自分で髪を切っているのだ、私に出来ないはずはない。トラウマと向き合うのだ。

 

しかし、トラウマと向き合うのは本当に良いことなのかなとも思う。以前、尿路結石ができ救急車で病院にかつぎこまれたことがある。あまりの痛さに気絶するかと思ったし、初めて痛みで吐きそうになる感覚を味わった。実際に吐いたり、気絶する人もいるらしい。二度と尿路結石にならないよう本を読みました。尿路結石になりにくい食事や生活習慣などが書いてあり、ためになったが、刃が集まったような尿路結石の拡大写真を見たとき、痛みの記憶が甦って具合が悪くなってしまった。恐ろしくて読めなくなった。トラウマに向き合わない手もあるのでは。髪を自分で刈らない手もあるのでは。

 

切るか切らないかでぐだぐだ迷っている。いっそロン毛にしてしまうか。丸坊主からのロン毛。情緒不安定なのでは。

 

 

 

▼『塩鉄論』を読んでいる。『塩鉄論』は、前漢の昭帝の御前で、御士大夫(ぎょしたいふ)と文学(幹部候補生)が諸問題について議論をした記録です。読んでいて面白いのは、見事な切り返しが決まるとき。どうも『フリースタイルダンジョン』のようなラップバトルを思わせるところがある。詳しくないからわからないですが、ラップバトルは先攻後攻があって、お互い悪口を言い合っている感じだけど、先攻側は何を言うか事前に考えることができる。後攻は難しいが見せ場も多い。相手の攻めを受けて、それを巧みに切り返したときがかっこいいし盛り上がる。『塩鉄論』も文学の側がうまい切り返しで御士大夫をへこませることが多い。ディスりはしないけど。御士大夫は権力者で、ディスったら死ぬので。そんな感じで『塩鉄論』を読んでいます。

 

 

 

助産師のドラマ『コール・ザ・ミッドワイフ』シーズン6の配信がAmazonプライムで始まりました。まったく周囲に観ている人がいないけれど本当にいいドラマなのだ。布教していきたいもの。『ユートピア』というドラマも観ているし、本当にドラマを観ているだけで一生を終えてしまう予感があるな。

 

 

 

▼映画の感想『黒部の太陽』を書きました。戦後復興の電力不足に対応するため建設された黒部川第四発電所。過酷を極めた工事の様子が描かれます。