玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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▼干し芋を作らなければならない、作らなければならないと思っていたが、気づいたらバスクチーズケーキを焼いていた。洋菓子に流された。レシピが簡単でミキサーがあれば手間がかからずできる。普通は円形の型で焼くのだろうけどパウンドケーキ型でも無事焼けた。

 

 

表面が隆起し、荒々しい出来だがそれもよい。バスク地方の荒波を思わせるようだ。行ったことないけど。知らんけど。

 

 

バスク地方はフランスとスペインにまたがって位置するそうです。

 

 

クリームチーズがしっとり瑞々しくて美味し。ほほほ。二つも焼いてしまったので毎日チーズケーキを食べている。貴族!

 

 

 

▼去年は落語ばかり聴いていた。今年は少し古典を読もうかと思っている。古典でも普通の人の日常に興味がある。元禄御畳奉行の日記とか。日記を読んでいきたいな。更級日記も面白い。源氏物語にはまる女子の日常。

 

「早く物語を見せてくれー、見せてくれーとせがんでいた。叔母が『実用品なんてつまらないわね。欲しいと思っているものをあげましょう』と源氏物語をくれた。もらって帰るときの気分といったら。胸をときめかせながら、じれったく思っていた源氏を一巻から、人とも交わらないで部屋で寝っ転がって読む嬉しさったらない。皇后の位とかどうでもいいわ。昼もずっと、夜も目が覚めているかぎり、火をともして、これを読む以外何もしないで」

 

意訳したがこんな感じ。本当に嬉しそうでこちらまで何か嬉しくなる。変わらんな、オタクは。現代人は当たり前に本が手に入るけれど、この時代は印刷技術がない。誰かから借りるか、写本が出来上がるのを待つしかない。物語の貴重さは今とは比べ物にならないだろう。今年は普通の人の日記を読んでいきたい。

 

 

 

▼BS『英雄たちの選択』で実業家の渋沢栄一を再放送していたので観る。渋沢の著書『論語と算盤』を読み解いた回だった。今年の大河ドラマも渋沢が主役となっている。今までとりあげられることがなかった人物で珍しい。久しぶりに大河を観ています。

 

渋沢は『論語と算盤』が表すように論語(仁義道徳)だけとか算盤(経済)だけとか、どちらかに偏っていない。車の両輪のように倫理と利益の両立を目指したところがすばらしい。渋沢の出自が武士ではなく豪農ということが大きいのだろうか。武士は金勘定を嫌うところあがったが、もはやそれではやっていけない時代だった。NPOやボランティアに携わる人の中には、利益をあげることを毛嫌いする人がいる。清貧がすばらしいと思っている節があるが、それだけでは人を救えないという現実がある。渋沢は人がお金儲けをしたいのは自然なことと認めている。そこに柔軟さと寛容を感じる。

 

また、渋沢は生活困窮者の救済のため養育院の運営にたずさわった。ホームレスの救済施設ですね。「惰民に税金を使うな」と議会で追及され、渋沢はみずからが養育院の運営責任者となり、寄付をつのって運営資金をあつめる。惰民てすごい言葉だな。流行りそう。資金を投資に運用し、倍以上に増やしてみせた。やり手ですなあ。惰民として尊敬する。

 

お金を稼ぐこととモラルは両方とも同時に発達しなければならないけど、現実そうはならんのよね~と渋沢は嘆いている。普遍的で一朝一夕に解決しない問題はある。学び続けて思いやりを絶やさぬようにするしかない。なにこの道徳的な終わり方。