玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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干し芋

▼少し前に手作りの干し芋をいただいた。とても美味しかったので、いろいろと作り方を訊いた。今日、その方に突然A4コピー用紙4枚にびっしりと印刷された「干し芋の作り方」を渡された。干し芋って、そんな書くことある? と思いますけど。これが、どこかのサイトを印刷したものならいいのだが、わざわざ自分で打ってくれたという。ありがたいやら申し訳ないやら。

 

芋の見分け方だとか、どの品種が干し芋に適しているとか、干し芋に使われる芋の歴史など、凝り性なのだ。うーむ、たしかに美味しいとは言いました。食べるのは好きなのだ。これなあ、一回作らないとダメな感じでは。蒸して干すだけだが、できるまでに3、4日かかるらしい。なかなか手間がかかっている。

 

仕事でやらざるを得なかったり、断れなかったりすることでも世界が広がることもある。干し芋づくりに目覚めよ、という天の啓示かもしれん。近々、干し芋を作る。

 

 

 

▼スペインの霧氷。

鮮やかな青空のグラデーションと白い霧氷の対比が美しい。

 

 

 

▼そろそろ新しいPCを買おうかとサイトを見ているのだけど、今はグラフィックボードが高騰しており在庫切れも多いんですね。本当に物がない。ある程度、性能のいいグラボはまず売り切れている。みんなそんなにゲームやっているのかなと思ったら、そんなことはなくてGPUで仮想通貨のマイニングをしているのだ。ビットコインも高騰しているし、ますますマイニングは過熱していくのだろう。カナダや北米は世界一電力が安いと言われているので、マイニング業者がひしめいているのかな。

 

NVIDIAは新製品「GeForce RTX3060」では仮想通貨の採掘性能を制限して発売すると発表。たしかにこれならばマイニング業者は手を出さないかも。だが、即改造されて突破されるような気も。仮想通貨は自分の生活に関係ないと思っていたけど、まさかこんな理由でグラボが手に入りにくくなる時代がくるとは。ぐぐぐ。これからどうなるのかなあ。

 

 

 

▼バレンタインになると、やってくるのが卑屈くん。自分の周囲の男がどれぐらいチョコをもらっているか聞いて周ってメモに残す。今更バレンタインという歳でもない。どうでもいいと思うが卑屈くんは毎年こだわる。相変わらず嫉妬を煮詰めたような性格をしていて微笑ましい。近寄るのやめとこ。

 

卑屈くんは社会人2年目の24時間くんに数を確認していた。24時間くんは屈託がない。「お母さんとお姉ちゃんからもらったんで、今年は2個っス!」と明るく答えた。モテていない人間にとっては家族からの、しかも母親からのチョコを1個と数えることについて大きな抵抗がある。そこは譲れないライン、モテない人間にしても最後の矜持ではないか。だが、そんなくだらないこだわりがない24時間くんは当たり前にモテてきたのかもしれない。恐るべし24時間くん。

 

卑屈くんは母親からのチョコを明るく申告した24時間くんにショックを受けたのか、しばらく黙りこんでいた。顔を上げると、私の方を向き「いくつですか?」と訊く。今年はコピー機の営業の人に1個もらった。「1個」と答えると卑屈くんは苦虫を噛み潰したような顔で「そうですか~。今年は3人あわせて3個ですか。まあ、こんなもんですか」と言う。3人あわせての意味がわからない。「チーム卑屈」として3個ということか。チョコもらえなさ過ぎて「あわせて」という技を開発した卑屈くんが恐ろしい。「リーダー、ゼロみたいだけど」と指摘するのは怖いのでスルーした。発狂する。