玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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オンラインサロン

▼先日、知人の引っ越し祝いにコーヒーを贈った話を書いた。コーヒーを贈った翌日、その知人からメールが届いた。彼と奥さんが一緒に映っていて、コーヒーを美味しく飲んでいますという写真だった。こういう細やかな気遣いができることに感心する。私は物をもらっても、お礼を言いこそすれ、このようにお礼をしたことはない。年下の人に教えられる毎日だ。

 

次の日も親とコーヒーを楽しんでいる写真、その次の日は友人とコーヒーを飲んでいる写真、さらに次の日は一人でコーヒーを楽しむ写真などが送られてきて恐怖する。どんだけ送ってくんだよ。彼は細やかな気遣いができるのではなく、ただ単に変人では。「もう送ってくんな」という旨をごく丁寧に書いた。

 

 

 

▼オンラインサロンをやっているキングコング西野さんが炎上しているニュースを見る。だいたいいつも燃えている。

 

オンラインサロンというのは外からだと今一つ何をやっているかわからないと思います。学生時代の友人Kがオンラインサロンに入っている。彼からオンラインサロンの話を聞いたことがある。ここで書く話は友人が所属しているサロンのもので、それが一般的なものかはわかりません。

 

サロンは有名人の名前が冠してあるものの、特別な企画があるときぐらいしか本人は出てこない。サロンは、サロンメンバーの自主的な運営に委ねられている。サロンの代表者は何もせずに月額何百万、何千万という金が入ってくるのだからすごい。サロン内には委員会、分科会、勉強会、趣味のサークルといったグループが存在する。たとえばビットコイン、FX、会社設立、キャンプ、なんでもいいのだけど。既存のグループに入ってもいいし、あらたにグループを設立してもよい。

 

で、このサロンのグループで一緒に起業する仲間を見つけたり、なんらかの作品を作ったり、仕事を回し合うというのが健全な使い方なのかもしれない。サロンに新しく入った人は何をやっていいかわからず、また友達作りで入る人もいる。そういった人のために新人が参加する親睦会みたいなサークルもあるという。そこでサロンの使い方を教えたり、懇親会を行うことでいくらか徴収する人たちがいる。

 

たとえば新人を50人集めて、料金を一人1500円徴収すると75000円集まる。レンタル会議室と簡単な飲物を置いて、サロンの使い方の資料を準備するだけで諸経費除いて1回7万円儲かる。これを月2回やるとそれだけで14万になる。勢いがあるサロンならもっと頻度を増やしてもいい。これを副業や本業にして稼いでいる人もいる。もっとも今はコロナなので会はできないだろうけど。友人も、同じことをやろうとしたがすでにグループができあがっていたため、彼は法律知識をいかして別の勉強会を開催していた。

 

その勉強会で使う資料を私に確認してほしいというので資料を読んだ。本にはもちろん書いてあることだし、ネットでその分野のブログを見ればすぐにわかることなので正直なところ勉強会をやるほどのことなのかなと思った。彼はその分野の専門家でもないし、実務経験もなかった。彼はその集まりを会費3000円で30人集めてやっていた。1回やるごとに9万円儲かる。ただ、会場やプロジェクターの費用はかかるし、資料を準備して説明する手間はある。それでも8万円程度の儲けはある。

 

これ、オンラインサロンの仕組みについて私がわかってないだけかもしれないが、本気で勉強会をやるならば、私の友人が一番いらないように思えた。誰か資料をまとめる人はいるにせよ、レンタル会議室はかなり安く借りられる。2000円でもお釣りはくる。飲み物は各自持参すれば、会費200円ぐらいでも十分あまる。彼の作った資料にそれほどの価値はないし、一人3000円徴収する意味がまったくない。仕組みを考えた人間が儲けるというのはわかるが、それでもこのやり方は、情報に疎い人を集めて小銭をかすめとっているように思える。サロンメンバーというのはお互いを助けるものかと思ったが、メンバーを食い物にしているのではないか。そう言ったところ、彼の顔色が変わった。

 

彼は、じゃあ普通に勉強会やるよと、みんなで持ち回りで資料作成をして低価格で会を運営しているというハッピーエンドにはならなかった。この話をした一年前から現在まで、彼から一度も連絡がありません!

 

はーい、この話おわりおわり。

 

 

 

▼映画の感想『フロントランナー』を書きました。アメリカ大統領選挙に出馬したゲイリー・ハート上院議員の話。ルサンチマンを感じる。面白かったですが評判はあんまり良くないみたい。