玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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少女漫画の男キャラ

▼カカオ72%の『ブラックサンダー』を食べる。『ブラックサンダー』って雑な感じのお菓子だと思っていたのに、カカオがたくさん含まれた高級チョコレートみたいなバージョンも出ていたのだな。高級な駄菓子のような、よくわからない気分になる。味は、甘さ控えめで美味しいのだけど。何か求めているものと違う。もっと雑でいい。カカオとかこだわらず、ひたすら甘くてバカな子供に好かれる味、それが『ブラックサンダー』ではないのか。偏見。

 

 

 

▼好きなものについての話を読んだり、聞いたりするのが好きだ。こちらも楽しい気分になってくる。知人が『フルーツバスケット』という少女漫画について熱量の高い文章を書いていた。影響されてアニメ版の『フルーツバスケット』を観だした。恋愛ものらしいです。3話まで観たものの正直なところ、まだ面白さがわからない。隣席のTさんに「『フルーツバスケット』って知ってる?」と訊いたところ、目つきが変わった。上目遣いで「フルバですか‥‥」と略してきた時点でなにか嫌な予感はしていた。「ほう‥‥私にそれを訊きますか」という雰囲気が恐ろしい。

 

熱狂的なファンがいる作品なのかもしれない。最終的に「私たちのフルバは‥‥」「高屋先生(原作者)には感謝しかない! 生まれてくれてありがとう!」などと語り出し、触れてはいかんところに触れた感じがした。仕事ではまったく見ない熱意を見た。Tさんが言うには、リメイクされたアニメより前に作られた旧作を観ろ、そして原作を読んで高屋先生をあがめ、たてまつれ! ということらしい。宗教? ファンとは厄介なもの。

 

まだ3話しか観ていないものの、どうもこの作品は男には理解できないのではないかという予感がある。少女漫画といっても、競技かるたの『ちはやふる』や将棋の『3月のライオン』などは性別関係なく楽しめる。だが、恋愛が主題になるとどうも難しい。少女漫画の恋愛物に出てくる男性キャラが、男の視点でみるとあまりに現実と乖離しているからではないか。簡単にいえば「なんかいい匂いしそう」なのだ。どうにもできない性のたぎりなど、まったく感じない。男は誰しも思春期の夜に、猥褻な書籍を求めて隣町まで自転車を走らせた経験をもつ。隣町というのは、町内だと知り合いに会う危険があるからである。なんだか、そういう経験なさそうなんだよな、フルバに出る男どもは。キラキラしている。

 

作品を観るときは無意識に登場人物に感情移入して観ることになる。女性は女キャラに、男性は男キャラに感情移入するとして、少女漫画で描かれる男は、男であって男でないというか。なにせいい匂いしそう。実際は汗臭くて嫌な臭いしかしないのに、王子のような男しかいない。理想化された宝塚の男役のように見えてしまう。そうなると、男にとって感情移入する対象が存在しない。「なにか違うな」と思ってしまう。ここら辺が男が少女漫画に入り込めない理由の一つに思える。

 

そもそも対象が女性だし、男が入り込む理由がないのだけど。現実にはいない完璧な存在だからいい、だから深くのめり込めるということだってある。なんでもかんでもリアルに走ればいいというものでもない。そんなわけで、宝塚を観るような感じで観ていこうかと思います。