玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

観察

▼いつの間にか冬のような寒さ。去年買ったカーキ色のジャケットをはおり、玉川上水を散歩した。玉川上水は場所にもよるが狭い所は道幅が3、4メートルもない。散歩やマラソンをする人でそれなりに混雑していた。正面から立派なシェパードを連れたモデルのような女性が歩いてきた。おしゃれなスポーツウェアを着こなし、ヘッドホンで何か聴きながら散歩を楽しんでいる。こういう人の家に飼われれば、週に何日かは美味しい肉を食べさせてくれるに違いない。毎日、ステーキとか食べているかもしれない。いや、食べているはず。どうかどうか来世はあの人に家に、と願う。

 

突然、歩みをとめたシェパードはフンがしたくなったのか、その場で力み始めた。すると女性は、今までの上品そうな姿とは打って変わり、シェパードのしっぽをつかんで手に巻き付けると、お尻を地面につけさせないよう強引に引き上げる。女性は「まてまてまてまて!」と言いながら、袋をシェパードのお尻にあてがう。地面にフンをすると処理をするときにシャベルが汚れるからなのか、直接、中腰で袋にフンをさせようとている。そして「だせだせだせだせ!」と命令する。シェパードは落ち着かない様子でモジモジし、中腰で用を足すしかない。姿勢が窮屈そうだし、ずいぶん情けなかった。

 

何も知らないのに、毎日ステーキを食べているなどと思って悪かった。犬というのも、あれはあれでいろんな苦労があるのだな。お互い強く生きようと、心の中で念じた。

 

 

 

▼友人と話したとき、『ミッション:インポッシブル』などのシリーズものは、なぜタイトルに数字を振らないのか、わかりにくくて仕方がないと言ったら、あれはわざとそうやっていると教えられる。『ミッション:インポッシブル』は3作目までは数字が振られているが4以降は『ゴースト・プロトコル』『ローグ・ネイション』『フォール・アウト』というタイトルが付いている。どれから観ればいいのかわからない。

 

むしろ、あれはお客がどれから観てもいいように、新しいファンが入ってきやすいように数字を付けていないのだという。ふむ。言われてみればまさにそのとおり。一話完結だし、問題ない。私は1から観ないと気持ち悪いタイプだけど、そんな人ばかりではないだろう。面倒くさいし。映画も本数だけはそれなりに観ていたけど、そんな基本的なことにも気づかないのだなあとみょうに感心してしまった。ポンコツである。ポン山コツ太郎である。皆様、ご存知というか当たり前のことなのだろうか。ほえええええ。映画の感想に、どれから観たらわからないから数字を振るべき! なんて偉そうに書いてましたけどー。ま、よい。

 

 

 

▼ニュースを見たら、9歳の女の子の自由研究が取り上げられていた。その子はツバメを継続して観察している。例年よりもツバメが減っていると言っており、理由はわからないがコロナで人通りが減ったことと関係しているのではないかと仮説を立てていた。こういう子が将来、研究者になるのかもしれないと感心する。私も子供の頃、九官鳥の観察日記をつけていたが「水をのんでた」「おいしそうにエサをたべた」「意味もなく鳴く」などと、アホの日記だった。それに比べるとすばらしい。

 

野鳥の会のサイトなどでも、コロナとは関係なく以前からツバメの減少については報告されてきた。原因については不明だが、生物学者の池田清彦教授はツバメの餌であるトンボが、2009年時点で農薬によって1000分の1以下(1990年と比較)に減ったことを指摘している。水田の昆虫が減れば、それを食べるツバメも当然減ってしまう。最初からネットで検索すれば「コロナで人通りが減ったこと」と結びつけて考えなかったのではないか。自分の頭で考えたからこそ、正解かどうかはともかく、新しい仮説に至ったのだろう。事前によけいな情報を入れないから、偏見なしに新しい何かが生まれることがあるかもしれない。

 

というような話を、仕事の合間に卑屈くんにしたら「最初っからネットで調べれば結論書いてあるのに、やっぱり子供はバカですね」と、9歳の子にマウントを取り出したので「おまえ、なかなかだな……」とだけ申し上げました。ろくでなしの35歳児と仕事をしている。

 

 

 

▼そして今日もオンラインゲーム『原神』をやってしまった。猫の動きの描写が細かい。

 

 

伸びたり、転がって遊んだり、顔を洗う仕草をしたりする。こだわりを感じる。もう冒険ランクは34で最後のクエストを残すのみとなった。やることが、ネコの観察ぐらいしか残されていない。