玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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白井は白井

▼ドイツでは、コロナで生活が苦しくなった芸術家へすみやかな給付がおこなわれた。最短では申請して2日後にはお金が振り込まれたという。それについてのジョークを見かけた。「ドイツが芸術家への支援をすばやくおこなったのは、美大に落ちたやつをほっといたら、えらいことになったから」というもの。笑ってしまった。美大受験に失敗したヒトラーのことを指している。

 

正確にいえば、ヒトラーが受験に失敗したウィーン美術アカデミーは当時は職業訓練校であり大学ではない。だが、現在は大学としての教育課程を創設するなど改革がおこなわれ、大学となっている。じゃあ、美大であってますね。私の中の妖怪 グダグダ説明する人が出現してしまった。

 

 

 

▼ふと、白井はどうしているのかなと思った。白井というのは知り合いでもなんでもない、プロ野球審判の白井さんのこと。ストライクをコールする際の「アァァァァイ!」という叫び声で野球ファンの間では有名。賛否両論の審判。YouTubeにも「白井 アーイ集」という動画があがっている。どんなものにもファンはいるのだな。

 

 

コロナで3密を気にする昨今、白井は叫んでいるのかと気になって野球を観た。観客は大声禁止でも、白井は関係なく叫んでいた。コロナも白井を止められなかったか。うるさいんだよ、白井は。審判が選手より目立つのはどうなのかと以前から思っていた。だが、ひょっとするとあれを楽しみにしている野球ファンもいるのではないか。「ああ、今日も白井が叫んでいる。野球場に来たんだな‥‥」という感慨。白井球審の叫びは、ファンにコロナを忘れさせ、いっときでもコロナ以前の平和なときを思い出させようという想いからではないか。

 

そんなわけない。白井はああいう生き物。前、誰かは忘れたけど「うるさい」って言ってる選手がいたな。私もそう思います。今日も白井は叫び続ける。

 

 

 

▼『砂糖の甘くない話』というドキュメンタリーを観てから、コーヒーに砂糖を入れない生活が続いている。当初、砂糖抜きはさびしく思っていたものの、今ではなんとも思わなくなった。人は慣れる。砂糖を抜いた生活を続けていたら、体重が1キロぐらい減った。微減。味覚が少しだけ鋭くなってきたかもしれない。デーツの甘味を以前よりも感じる。他に何か変化があるわけではない。

 

店で売っているような砂糖というのは自然状態には存在しない。サトウキビをしぼって濾過し、煮詰めて結晶を作り、遠心分離機で結晶と蜜を分け、(中略)と複雑な工程を経て精製された砂糖ができる。もちろん自然にも果物に含まれる果糖はあるけれど。

 

ネットフリックスでドイツの『DARK』というドラマがやっている。方々で噂を聞くけど面白そう。動画配信が始まってから、面白い映画やドラマが見放題になった。はたしてこれはいいのかなとも思う。自然にはない精製された砂糖を摂り続けているようなものなのではないか。生きるということは元々、まったく面白いことでもなんでもなくて、それを感情を揺さぶるようなものを摂り続けるというのは、はたしていいことなのだろうかと考える。

 

面白いなあ面白いなあと思っているうちに一生を終える。のか。一年に何回か、このゾーンに入りますね。入るんだよなあ。じゃあどう生きるかといっても答えはないわけで、40を超えてねえ、どう生きるも何もねえ、そういうの中学生で終わらせておけば? と思うのだけど。引きずってこのまま来てしまったわけで、これからも引きずっていくんでしょうかねえ。いくんだろーなー。あーあーあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。

 

壊れたのでまたいつか。あ、今日、プレミアムフライデー。これを告げることだけが私の役目。