玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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レーザーディスク

▼暑かったり、寒かったり、暑かったりで地球に弄ばれている。伊勢湾台風と同程度の台風が来るらしく、ベランダの植木を部屋に入れたりして準備した。災害の多い年よ。平安時代だったら今年だけで3回ぐらい遷都しそう。遷都するなら夏の間は北海道、冬の間は沖縄がいい。どちらも食べ物が美味しい。レジャーと勘違いしている。

 

 

 

▼ついに10日間にわたる家の給排水管交換工事を終えた。

 

古代ローマ帝国はユゼスの水源からローマの都市ネマウススまで、およそ50キロもの距離の水路を作り上げた。16階建てビルに匹敵する高さ49メートル3層構造の美しい水道橋ポン・デュ・ガールである。あの水道橋の建設と同じぐらいの一大事業であった。おおげさ。

 

 

とにかく部屋の片づけが大変で、こんなにも物が多いのかと呆れた。わけのわからない物がたくさん出てくる。ボーイスカウトの頃の記念品なども多い。「○○年夏季キャンプ ××キャンプ場」などとペンキで書かれた石や丸太の切れ端が出てくる。ま、その、ゴミとも言うような。当時のリーダーたちがお金をかけずに記念品を用意してくれたのだな。ありがたい話。窓からぶん投げるか、クローゼットの奥に突っ込むか、迷うところ。クローゼットの奥に突っ込んだらあと20年ぐらいは出てこない予感。

 

 

クローゼットを整理しているとレーザーディスクの空のメディアが1枚出てきて驚く。左はレーザーディスク、右はDVDですが、比較すると相当に大きいことがわかる。90年代、一時もてはやされていたようだけど、いつの間にか廃れてしまった。そもそもレーザーディスクを持っていなかったし、なぜこんな物が家にあるのか困惑した。

 

しばらく考えていたが、ボーイスカウトでもらった物だと思い当たった。ボーイスカウトは、小学6年から中学2年までの3学年で構成される。そして、活動をサポートするためにシニアスカウトなど上の世代が手助けしてくれることが多い。シニアは10代後半から20代前半が多く、社会人もいる。たぶんシニアの方の会社で扱っている商品で、なぜか私たちに1枚ずつレーザーディスクをくれたのだ。そんな物もらっても本体がないわけで、なんの役にも立たないのだけど、当時「ハイテクな物をもらってしまった‥‥」と喜び、部屋にビニール紐で吊り下げて飾っていた。カラスよけにしか見えないが。

 

友達が来ると「これはレーザーディスクというものだ」と自慢していたのを憶えている。怪しげな新興宗教っぽい。ある日、友人Kが部屋に来て、いつものようにレーザーディスクを自慢したところ「それなんに使うの?」と言われ、困った。使い道について考えたことがなかった。だってほら、これキラキラしててきれいじゃなーい? 友人Kは私に恥をかかせてはいけないと思ったのか「一緒に使い方を考えよう」と言ってくれた。優しい男である。結果「ゴミ」という結論が出たんですけど。それから押し入れの天袋に突っ込んで、日の目をみることはなかった。そのレーザーディスクが何度かの引っ越しを乗り越え、今ここに。

 

燃えないゴミとして捨てた。

 

友人K、元気にしているだろうか。

 

 

 

▼映画の感想『ハッピー・デス・デイ 2U』『モリーズ・ゲーム』を書きました。『ハッピー・デス・デイ 2U』は『ハッピー・デス・デイ』の続編のタイムリープもの。相変わらずテンポよく楽しめる作品でした。『モリーズ・ゲーム』は26歳でポーカールームを運営した実在の女性モリー・ブルームの話。いい話なのかどうなのか。面白かったです。