玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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伯父の思い出

▼伯父夫婦は家を引き払い、老人ホームへと移った。いつか面会に行かなければと思っていたがコロナで会うことができない。手紙を書くことにした。思えば、伯母にはずいぶんとかわいがってもらった。「誰にも言わなくていいから」と、伯母からこっそり小遣いをもらったことが何度もある。伯母は病院を定年まで勤めあげた。ずいぶんと給料が良かったようなのだ。新築した二階建ては、ほとんど伯母の稼ぎだというのを聞いた。よく笑う茶目っ気のある人だった。

 

伯父はというと、あまり話したことがない。伯父は、高校か中学の教員免許しか持っていなかったが小学校で教えていた。それが何かのきっかけで保護者にばれ、抗議を受けて学校を辞めることになったらしい。それから何をしていたかはわからない。親族の間ではこの話題はタブーになっており、私もよく知らない。この思い出いるのか。

 

伯父についての思い出といえばなんだろう。普段愛想が悪い伯父だったが私が成人すると途端に愛想が良くなった。田舎に帰ったとき「まあ一杯、飲んで飲んで」と、私のコップにビールをよく注いでくれたことを憶えている。私は下戸でまったく飲めない。伯父はアルコールを医者から止められており、伯母もうるさかった。私に酒を出すという名目で、私をダシにして自分で飲みたいだけなのだ。今ならばそのぐらいの狡さはなんとも思わない。だが当時、二十歳を越えたばかりの私は、酔っぱらいとは実に汚く酒を飲むのだなと、伯父を冷ややかに見ていた。というか、もっと楽しい思い出話なーい?

 

ないです。

 

伯母は明るくサバサバしていて人気者だから、他の親族から手紙が届いているかもしれない。伯父はどんより淀んでいるからな。なんだか伯父がかわいそうなので今回は伯父宛に手紙を書いた。伯母にはまたいずれ。

 

 

 

痛風の膝関節炎に加え、賞味期限がきれたハンペンを食べたらジンマシンが出た。ヨロヨロ。仕事をするには集中力を欠く。寝たほうがいいのだけど膝関節が痛くて眠れないので映画を観ることに。なるたけ退屈そうなものを選んで、あわよくば寝る作戦。

 

ニコラス・ケイジが好きなので『コード211』という映画を観る。ニコラス・ケイジは作品の当たりハズレが激しい。何度も書いているが、ライアン・ゴズリングジョージ・クルーニーあたりは作品を十分に吟味して出演を決めているように思う。知名度もあるし、それが普通なのだけどニコラス・ケイジは手あたり次第に出ている感じがすごい。ま、金がないというニュースをたまに見かけるわけで、原因はそれだろうけど。滅茶苦茶に買うからなあ。恐竜の骨とか城とかピラミッド型の巨大な墓とか。何を考えているんだ。そんなわけでハズレ臭がすごい『コード211』を観たら、やはり豪快にはずしていた。これはまたずいぶんな‥‥。

 

ところがですね、いつもなら確実に寝るはずだが膝が痛いので最後まで観きってしまう。意外な効果が。次は大好きなイーサン・ホークの映画『リミット・オブ・アサシン』を観る。これもジャケットからハズレ臭が‥‥。つまらなくはないものの、それほどという。だが膝痛の効果でまたしても眠れなかった。次に『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』を観る。テレビ版の世界観を損なわず映画版にした出来で「テレビ版が好きだった方なら」という。のんびりしておるね。

 

アニメ『かくしごと』(全12話)を観る。下品なギャグマンガを書いている主人公が、溺愛する娘に知られないために自分の職業を隠しながら子育てするギャグアニメ。成人漫画なら隠したい気持ちもわからないではないが、ギャグマンガ家というのはべつに恥ずかしくもないように思うのだけど。そこが引っ掛かってしまい、あまり入り込めなかった。主人公がひたすら娘を溺愛するのも教育上どうなのだろうと思ったり。娘はかわいく描けている。絵の雰囲気が80年代に流行したイラストレーター、わたせせいぞうさんを思わせる。青い空、白い雲、さわやかな雰囲気がいい。が、ギャグはなんだか合わなかった。

 

すべて観きったが眠ることはできず、ぐったりと疲労した。これ、普通に仕事していたほうが疲れなかったのでは。

 

 

 

▼映画の感想『かぐや様は告られたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』を書きました。学園ギャグアニメ。面白かったです。