玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

このブログの内容はすべてフィクションです

ゲマインシャフト、ゲゼルシャフト

▼マイタケ、シイタケ、油揚げの炊き込みご飯を作る。思えば初めての炊き込みご飯。炊き込まない人生に終わりを告げた。

 

味、うっすー。次こそはなんとか成功させたい。おこげも作りたい。

 

 

 

▼格闘家でYouTuberの朝倉未來(みくる)さんの動画を観る。今までちゃんとしたYouTuberの動画を観たことがなかった。再生回数2桁の動画を観て「地獄だな‥‥」と思って以来、観ていなかった。ちゃんとしたものから入ればよかった。

 

未來さんは直観力と推理力がものすごくて驚く。撮影している仲間とドッキリを仕掛あっている企画が多く、でもほとんど引っ掛かることはない。警戒心が異様なまでに高い。一人だけ戦国時代にいるのか。同じく格闘家でYouTuberである弟の海(かい)さんが、未来さんにキャラ弁を作って持っていく回がある。

 

海さんの方は兄と違ってほんわかしたチャンネル。兄はほとんどドッキリを見破るのに、弟は全部かかっていくのも対照的で面白い。人を疑いまくる兄とまったく疑わない弟という。同じ環境で育ってきて、ここまで差が出るのだな。未来さんの仲間は、ただキャラ弁を持ってきたという海さんが信じられなくて、弁当に何か仕掛けられているのではないかと執拗に疑う。鍛えられすぎている。ドッキリ仕掛けられすぎて病気みたいになっている。面白い。そもそもただキャラ弁を持っていくのは企画として弱すぎるし、面白くない。未来さんたちなら、こういった企画をやらないだろうし、疑うのも無理はない。未来さん、海さんの弁当にまったく手もつけないという。非情な兄。面白い。

 

YouTuberが子供の将来就きたい職業の1位になってから久しい。なぜそうなるのかよくわからなかった。でもこういう動画を観ると理解できるような。社会学の講義でゲマインシャフトゲゼルシャフトを習った。この話、だいぶ古いんですけども。これを提唱したドイツの社会学者フェルディナンド・テンニースは1936年に亡くなっている。

 

ゲマインシャフト(共同体組織)の最小単位は家族で、友人同士の集まり、趣味の同好会、町内会、部活、習い事、サークル、村社会等がある。こうした組織は構成員の満足度を高めるのが重要な方針となる。一方、ゲゼルシャフト(機能体組織)は組織に目的があり、目的達成のために人材、資源、指揮系統が整備される。ゲゼルシャフトの代表は会社ですね。

 

競争が激化、会社の拡大等により、ゲマインシャフトの気風をもっていた企業もゲゼルシャフトにシフトせざるを得なくなる。利益追求のためにはいいのだけれど、あまりにそればかりになるとつらいというか、どこかでゲマインシャフト的な気風も残していかないと押しつぶされるような気がしていたのだ。ゲマインシャフトゲゼルシャフトが塩梅よく融合した組織が理想に思える。過労死、派遣切り、ブラック企業、ハラスメントなどはゲゼルシャフトの弊害が滲み出たように感じる。

 

子供が憧れる職業として以前は、芸人が1位だったこともあった。バラエティ番組はゲマインシャフト的な雰囲気を醸し出している。実際は、面白いことを言わないと次は呼ばれないとか、視聴率が悪かったらなどとバリバリのゲゼルシャフトだけど。ゲマインシャフトというのはお金との相性が悪い。そもそも利益追求のための組織ではないから儲からないんですよね。そこのところをひっくり返したのがYouTuberで、トップの方にいけば気の合った仲間と楽しくやりながら相当な利益をあげられる。ゲマインシャフトでご飯が食べられるとは。これは子供が憧れないわけはないなあ。などと。え、今更? みたいな話ですけども。今更なんですよ。人から10年遅れてるんだ、私は。

 

 

 

▼映画の感想『悪との距離』を書きました。無差別殺人を扱った社会派ドラマ。台湾ドラマのレベルの高さにおののきました。お薦めです。