玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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なぜ人は肉じゃがを得意料理というのか

▼タピオカミルクティーという言葉を初めて耳にしたとき、芸人の誰かの名前に似ていると思った。それが誰だかわからずにモヤモヤした。1年以上たち、さきほどようやくわかった。「ユリオカ超特Q」である。続けて発音してみたが、アクセントが似ている。腑に落ちた。ユリオカ超特Qさんはプロレスラーのモノマネが得意な芸人。今日はそれだけ憶えて帰ってくれれば大丈夫。他にためになることは何も書いてない。

 

 

 

▼玉ねぎとじゃがいもに芽が出始めたので肉じゃがを作る。可もなく不可もなく、まずまずの美味しさ。

 

ドラマなどで、女性の得意料理として「肉じゃが」と答える場面がある。あれがよくわからなかった。もはや、あざとさの象徴だったり、ギャグとして使われることも珍しくない。不思議なのは、そもそも肉じゃがを好きな男って聞いたことがない。聞いたことがないなら、アピールにもならないのではと思った。周りの男に好きな家庭料理を聞いてみたら「かつ丼」「カレーライス」「チャーハン」「ハンバーグ」「焼きそば」「卵焼き」などがあがり、肉じゃがはなかった。複雑な料理が一切、出てこない。私の周りが単純な人間ばかりだからなのか。「ホワイトアスパラに鱈のポワレ 三種のソースを添えて」などと言われても腹が立つけど。石、投げるけど。

 

周りにいる女の人に「得意料理は何?」と訊いたら「なんでそんなこと訊くんですか?」「え、なに急に‥‥怖いんですけど」とガードが堅かった。そうか、これは訊いてはいけない質問なのだなと思った。うっかりするとセクハラととられかねない。そもそも料理を男女どちらがするかは決まっているわけでもない。料理は女がするもの、という思い込みがもはや罪か。ただ、なぜ肉じゃがを得意料理と答える人がいるかが知りたかっただけなのに。本当に得意なのかもしれん。肉じゃがというのは、たいした技術がいるとは思えない。仮に味付けが苦手な人でも、すき焼きの割り下を入れれば上手にできる。肉じゃがが特別視される理由がよくわからないのだった。

 

お菓子大好きお菓子ちゃんに、得意な家庭料理を訊いたところ「缶詰めのサンマのかば焼きを電子レンジで温めて、タレと一緒にあつあつのご飯にかけてかっこむのが最高!」などと言っており、純度100%のおっさんだった。あと、それ家庭料理じゃないのでは。肉じゃがの謎はいまだ解けていない。

 

 

 

▼『かくかくしかじか』(東村アキコ)全5巻

美大を受験し、のちに漫画家になった著者。彼女が師事した先生との思い出を描いた作品。とても良かったです。

 

自分にとって恐ろしくて、尊敬できる人の存在というのは本当にありがたいもの。当時は、その人がどれだけ自分のことを考えてくれているかもわからず、恩知らずなことをしてしまったり、振り返ってみると心が痛くなることは誰にでもあるかもしれません。ずっと謝りたかったこと、お礼が言いたかったこと、長い時間そばにいたのに照れくさくて伝えられなかったこと、そういうことはたくさんあるわけで、でも伝えようとしたときにその人はもういない。この作品を読んで、私も特別な人のことを思い出しました。心に残る作品でした。

 

とにかく、この本に出てくる先生ががんこで最高なんですよねえ。岡本太郎の言葉を思い出した。「格好だけ世間にうまく売り込んだだけの一流を相手にしても意味はない。たとえマスコミに知られていない無名の人でも、自分をつらぬいて生きている人がいたら、そういう人をみつけてつきあうことだ」。まさしく先生は、そんな人。

 

 

 

▼映画の感想『ワイルド・スピード / スーパーコンボ』。うーむ、マックのメニューに載ってそうなタイトル。ワイルド・スピードシリーズのスピンオフ作品。ドゥエイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムを合わせたら、なんとなく撮れるじゃろ~的なものを感じる。ワイルド・スピードの売りであるカーアクション少なめでさびしい。