玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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貴賤

▼緊急事態宣言が出たが、何が変わるかといえば私の周りは特に何も変わらないような。台湾のように人が集まったら350万円の罰金とか、ドイツも300万だったかな、そういった罰則があるわけではない。あくまで自粛要請で乗り切ろうという姿勢。ふうむ。収入減少による補償条件もかなり厳しい。私に3億円くれる話、なくなったのか。3千円でもいいの。

 

そういえば、新型コロナの世界的大流行について予言した人をまったく見かけなかった。占い師や新興宗教の教祖とか、みんなインチキということなのかな。それはそれでさみし。そろそろ大川隆法先生が志村けんの守護霊にコロナのことを語らせるのでは。ということを予言しておく。この予言は当たる。

 

 

 

▼たまに行っていた食堂が閉店。飲食が一番影響を受けているのかな。先月ぐらいから企業への無利子の貸付があったが、ご主人が言うには「借金だから返済しなければならないし、今借りても」ということだった。いつコロナが収束するかわからず、それだったら借金を積み上げないうちに閉店を考える人もいるだろう。売上が落ちた企業への補償についても「結局は税金だからねえ」ともらうのを渋っていた。真面目な人ほど誰かに迷惑をかけないようにと、早く店を畳んでしまうのかもしれない。誰もが喜んで補償を受けるわけではないのだ。

 

休業補償といえば、接待飲食・風俗業も補償が受けられることになった(毎日新聞)。当たり前とはいえ、方針を変えたのはいいこと。特定の職業が補償対象外だったのは、職業に貴賤ありと考えていたからなのかなあ。貴賤というのはどこで決まるものなのか。大学時代、鬱病にかかり自殺をほのめかしている友人がいた。彼は「生きていても面白くないし、最後に風俗でも行って死ぬか」と言っていた。どこまで本気だったかはわからない。彼は風俗で童貞を捨て、その後、ケロッとして「俺は生きるぞおおおお!」と180度方向転換をし、バイト代を風俗につぎ込む日々が始まるのだった。

 

彼は風俗に行かなくても死ななかったかもしれない。だが、本当に自殺したかもしれない。それは彼にしかわからないことで、ひょっとすると彼にすらわかっていないかもしれず、なんとも言えない。だが、このとき彼にかりそめとはいえ生きる希望を与えた風俗嬢について賤業であると言い切れるだろうか。苦しいとき彼を救えたのは医者でもなく、周りの人間でもない風俗嬢だった。職業に貴賤はなく、人に貴賤があるように思うのだけど。そもそも、人の職業を賤業であるという人間がまともには思えない。

 

水商売の人間がどのような動機で働いているかはさまざまでシングルマザーで否応なしに働いている人もいれば、ブランド品が欲しくて働く人もいるだろうし、動機など自由で当たり前。税金をきちんと納めていれば、他の職業と同じように補償してしかるべきで、今回の政府の方針変更はいいことだった。

 

政府のやり方で気になるのは、わざと情報をリークして反応をみるようなやり方。お肉券やお魚券も「出す」と言ってみて、批判が集まると「あれ、これは違ったか」と引っ込める。補償の方針変更もそうだし、緊急事態宣言も出す前日に様子を見ているようなところがある。やらなければならないという確固たる自信に基づいていれば非難されても断固実行すればいいのだけど、恐る恐るというのを感じる。ポピュリズム政権というのかな。SNSで怒られたらやめる感じがある。「怒られるのイヤ」というところに共感するものの、政府がそれではちとさみしい。