玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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来る人、去る人

▼春なのにえらい寒いのだった。先日の雪は桜を散らさなかったようで、今が見頃。買い物がてらに花を見た。

 

 

 

▼新年度、異動する人あり。お菓子大好きお菓子ちゃんが異動した。お菓子ちゃんの後任には、井森美幸にそっくりな井森さんが配属された。お菓子ちゃんは引継ぎ資料とは別に、人についてのことを口伝えで残していったとか。武芸や芸事の奥義も口伝えが多いという。データにしないあたりさすがと言える。元秘書課だけあって用心深さを感じる。

 

Aさんはキャパが小さいので一度に仕事を頼むとキレやすいとか、Bさんは正面から仕事を頼むと嫌がるので喫煙所にいるときに相談すると引き受けやすいとか、こちらのほうが引継ぎ資料よりも重要かもしれない。

 

私について何を言っていたのか、井森さんに訊いたところ「寒がり。甘い物が好き。特にシュークリームを与えると機嫌が良くなる」とのこと。私だけペットの飼育メモだと思います。

 

 

 

志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎でなくなった。テレビをとても楽しみにしていた小学生の頃、金曜がくるのが待ち遠しかった。金曜夜7時は『ドラえもん』を観て、次の土曜は半日授業で夜は『8時だョ 全員集合』を観る。だから金曜あたりからワクワクしていた。今、何かが待ち遠しくてワクワクするなど、ほとんどなくなってしまった。今よりずっと多くの人がテレビを楽しみにしていた時代だった。

 

ドリフ、ひょうきん族とんねるずダウンタウンウッチャンナンチャン、ここら辺まではテレビが生活の中心にあったように思う。ドリフの笑いは次の世代に取って代わられて、それからはかつての勢いを取り戻すことはなかった。でも、深夜にテレビをつけるとコントをやっていて、まだ作り続けていたのだなと観ることもあった。志村どうぶつ園というバラエティもやっていたけれど、本当にやりたいのはコントだったんじゃないのかな。そうやって一つのことをやり続けて一生を終えるというのは、すばらしいことに思える。

 

テレビで観るだけの人だけど、ぼんやりとした喪失感を感じる。そうか、死んでしまったのだなという。コントでもなんでも、今は嫌な見方だけどどこか斜めから観てしまうところがある。映画を観れば、作品自体が面白くなくても自分のほうから面白さを見つけに行ったりもする。それはそれでいいことなのかもしれないけど、ドリフを観ていた子供時代はそんな小細工など必要ないぐらい、心の底から面白がって夢中で観ていた。くだらなくてバカバカしくて楽しかった。そういう時間があったのだ。本当にありがとうございました。