玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ヤギ責め

▼コロナウイルスの影響で無観客開催となった相撲を観る。客がいない会場の様子は何か物足りなくて、取り組みの様子も練習のように見えてしまった。弓取り式では、弓が風を切るブンブンという音が聴こえた。いろいろあるが、ともあれ人生は続いていくのだ。無観客相撲が行われ、私は今日も無観客ブログを書き続ける。いや、3人ぐらいは客がいる‥‥はず。

 

 

 

静岡県議が大量のマスク出品 落札額17万円もテレ朝news)というニュースを見る。

 

今までマスクの転売というと、転売を生業にしている転売屋がやるか、生活が苦しい人がやむを得ず手を出すのかなと思っていた。高額の報酬を受け取る議員もやっていたとは意外。落札価格が17万円の物もあったとある。1箱2000枚の品だそうで、2000で割れば1枚あたり85円になる。仕入れの手間、保管費用などを考えると実はそれほど高くないのかも。しかし、たとえ法的に問題がなかったとしてもマスク不足の今、人としてどうかというのはあるけど。

 

総務のMさんと話す。Mさんは痩せ型で長い黒髪の物静かな女性。世界の拷問を調べるというちょっと変わった趣味を持っている。今回は「ヤギ責め」の刑を教えてもらった。18世紀フランスで行われた拷問。罪人を動けないように縛り、裸足の足の裏に塩水を塗る。これをヤギに舐めさせるというもの。ヤギの舌はヤスリのようにざらついており、ヤギに舐め続けられることによって皮膚が破れ、血が流れ、壮絶な痛みに襲われるとか。塩水もしみるだろう。草しか食べないヤギは、鉱塩というミネラルを含んだ岩のようなものを舐めることで塩分を補給する。その性質を利用した拷問なのでしょう。

 

 

ヤギはのんびりしたイメージだけど、よく見ると何か怖い。総務のMさんは「マスクを転売した諸田議員への刑罰はヤギ責めでどうか」と言う。どうかと言われてもな。

 

 

 

▼自宅でのテレワークが拡大している。私が仕事を請けている会社でもテレワークが増えた。「どうせ僕なんか」が口癖の卑屈君もテレワークとなり、テレビ電話で打ち合わせをした。上着はぱりっとした襟付きのシャツを着ていた卑屈君だったが、下は実はスウェットだとか。下半身は見えないから、そうなるよなあ。「ちょっと興奮しちゃいました」と、わけのわからないカミングアウトをされた。それで興奮できるのだな。

 

最近あまり興奮してないな、と思う。卑屈君とテレビ電話で打ち合わせをしたが、こちらからは卑屈君の姿は見えるものの、彼からは私の姿は見えない。私の声だけが聞こえている。私はPCにカメラを接続していない。卑屈君に気づかれないように、会話をしながら変なかっこうをしたら興奮できるものなのかなと考える。

 

卑屈君とスカイプで通話しながら下半身の衣服を脱ぎ、上半身も脱ぎ、スッポンポンになってみたもののまったく興奮しなかった。「なんでこんなくだらないことやってんだろう」という自嘲的な感情も訪れない。無だった。完全に無。強いて言えば寒いだけ。淡々と服を着て、また何事もなかったように会話を続けた。人生は続いていくのだ。

 

 

 

▼映画の感想『ブラック・フット』を書きました。実話を基にした作品。山に行ったらクマに襲われた話。大部分はカップルのケンカです。地味映画が好きな人にはいいかも。熊、出番は少ないけど怖し。