玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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通じ合う

▼寒くなってきた。「冬には冬のおしゃれがあっていいですよね」などと言われるが、おしゃれな人にはそうなのかな。私も冬は嬉しい。コートとマフラーさえつければ、下は裸でもわからない。楽。変質者みたいなことを書いているが大丈夫か。おしゃれな人も、私も、冬が好き。それでいいじゃないか。

 

 

 

▼布団の中でぬくぬくするのが嬉しい季節。もう起きなくちゃ、でもあと5分だけこうしていよう。それがとても嬉しい。寒い中でこそ、ぬくぬくする幸せがあるのではないかと気づいた。ずっと寝ているのが幸せに思えるが「起きなければならないのに」という条件が付くことが重要。マイナスの中のちょっとしたプラスが幸せという。苦難あってこその幸せ。

 

この話を隣席のTさんにした。「それは『スイカに塩をかけると甘い』ということですか?」と言われるが違うような。「テレビゲームをプロジェクターのような大画面でやるとか?」いや、それなんの話。ロミオとジュリエットのように家同士に反対されたが燃え上がる恋愛、社会人にとってのお盆休みやGWが近いかもしれない。Tさんにはあまりわかってもらえなかった。何年か仕事をしていても、わかりあえないこともある。私の説明がものすごく下手なのかな。

 

 

 

▼そういえば、町でどこかわからない国の方に道を訊かれた。最初は、彼が英語話者だと思っていたので、こちらも受験英語みたいなもので必死に対応したが、どうも英語もあまりよくわからないようなのだ。もう、最終的には「ユーは、ステーションへ、ゴー?」みたいな感じになったが、それが通じるという。言語など必要ない。ようは気合。

 

以前、書いたが『Dead by Daylight』という殺人オニゴッコゲームがあります。鬼役のプレーヤーがサバイバーというプレイヤーたちを捕まえる。サバイバーたちはエリア内に設置してあるいくつかの発電機を修理して脱出するというもの。このゲームはプレイヤーたちが音声やチャットで連携をとると圧倒的に有利になるため、そういったソフトの利用が禁止されている。一応、いくつかのゼスチャーは用意されているのだけど、ゲームが忙しいため、プレイヤーはもっぱらctrl(コントロール)キーですべての感情を表現する。ctrlを押している間はしゃがむんですね。

 

トントンとすばやく2回押すと、腰をヘコヘコさせているように見える。プレイヤー同士があったときの腰ヘコヘコは「こんにちは」ぐらいの意味。治療や助け出してくれたときのヘコヘコは「ありがとう」。発電機修理中にタイミングを誤って爆発させたときのヘコヘコは、爆発させた側は「ごめんなさい」であり、そばにいた味方は「何やってんだコラー!」である。鬼への挑発も腰ヘコヘコで行われる。すべて腰ヘコヘコで通じる世界。言葉はいらない。

 

そう、大事なのは感情。だから私と彼も通じ合えたのだろう。通じた瞬間には大きな喜びがあった。彼は目的地に無事たどりつけているとよいのだけど。今頃、家族にこんなことを言っているかもしれない。「今日、日本語も英語も通じない国の人に道を教えてもらったよ」などと。

 

 

 

アフガニスタンで灌漑、医療に取り組んできた中村哲医師とそのボディガードの方たちが現地で銃撃を受け、亡くなったニュースを見る。

شخصیت که خدمت به مردم افغانستان را بر راحتی با فامیلش ترجیح داد، متاسفانه در جریان خدمت جان باخت. مرحوم داکتر ناکامورا، مردم افغانستان همیشه مدیون خدمات شما خواهد بود.

Kam Airさんの投稿 2019年12月5日木曜日

アフガニスタンの航空会社カームエアは尾翼に中村医師の肖像を掲げた。

 

いたましいニュースでした。ちょうど前日にアフガニスタンで気候変動によって頻発している洪水の報道を見ていた。近年起きている洪水は規模の大きなもので、草や木が根こそぎ流されてしまって土地も荒れて整備もできず、農業をやることが困難になっている。政府の支援は届かず、人々は難民になったり、暮らしに困窮することもあるという。また、暮らしがたちゆかないことからタリバンに入る人たちも出ているという。タリバンに入れば月給がもらえるんですね。気候変動がテロリストを増加させている。

 

中村医師が医師でありながら灌漑をしていたのも、こうしたことに歯止めをかけるため、まずは飲食物、インフラがないと生活の基盤が成り立たないという考えなのだろう。