玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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水やり

▼夕方、地元の商店街を散策。それぞれの店の前にはガーベラやマリーゴールドなどの小さな花壇がしつらえてある。ほんの少しの花でも鮮やかで美しい。アゲハ蝶が花の蜜を吸っていた。子供の頃以来だろうか、ずいぶんと久しぶりにアゲハ蝶を見た気がする。イメージアップのために商店街全体で花の世話をしているのだろう。

 

小さなスナックの扉が勢いよく開いた。上下紫のスウェットで椿鬼奴を20年塩漬けにした感じのおばちゃんが腰を曲げ、くわえ煙草で出てきた。いかにも面倒臭そうで、バケツ片手に、もう一方の手ではボリボリとお尻をかいている。アゲハ蝶がいるのを確かめもせずに、バケツの水を手で何回かザブッザブッと花壇にぶっかける。最後はバケツを逆さにして2,3回水を切ると、またすぐにスナックに戻っていった。花壇を見もしない。商店街で決めたから、とりあえず水だけはやっているという感じがいい。とてもいいものを見た。

 

水やりというと、花好きのお姉さんが毎日花の成長を楽しみにしつつ、ジョウロで丹念に水をあげている。たまに花に微笑みかけたりして。そんな勝手なイメージを抱いていた。まさか、あんだけ荒々しく水をぶっかけていたとは。それでも花は美しく咲き誇っている。アゲハ蝶はおばちゃんの襲撃をかわし、高く羽ばたいた。

 

 

 

▼映画の感想『夜に生きる』を書きました。ベン・アフレック監督主演のギャング映画。あまりギャング映画っぽくない。血で血を洗う感じがほしかった。因果応報を感じる作品。ベン・アフレックは『アルゴ』『ゴーン・ベイビー・ゴーン』『ザ・タウン』と監督した作品がどれもいい。もっと監督してほしいなあ。