玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ホットドッグ

▼おつか令和~、という挨拶が一瞬流行って光速ですたれた。誰も言わなくなった今、ようやく恐る恐る使ってみる。「え‥‥今頃?」みたいな顔をされている。誰も使う人がいなくなっても私だけは使おうではないか。と思ったりしたものの、とくに面白くもないし、そこまで肩入れする理由もなかった。もう使わなくてよさそ。おつか令和~。

 

 

 

ホットドッグを作って食べる。おいし。千切りにしたキャベツを炒めるときにカレー粉を入れるとよりおいしい。こういった普通のホットドッグで十分満足。

 

単純なものばかり食べている。四十歳を越えたらばワイン片手に舌平目のムニエルだとか兎肉のゼリー寄せとか、フランス料理みたいなのばっかり食べているものだと子供の頃に想像していたが全然違った。ホットドッグや唐揚げ、おやつはポテトチップスとか、シュークリームとか、そんなんばっかり。もうここまで来たら残りの人生もこのままだろう。私の棺桶にはベビースターを入れてください。ほんのり香ばしい匂いと共に昇天する。

 

 

 

▼集合住宅の祭り当番。去年、地獄をみたわけだがまた今年もやれとお鉢が回ってきた。断っても断っても、そこをなんとかと押し切られそう。今年は理事でもないのでやらんぞ。架空の親戚を作り上げ、その人間(身寄りがない設定)を入院させて看病しているという理由でなんとかしのぎたい。最終的には殺してもいい。断固たる決意で逃げたい。

 

 

 

▼『小説家になろう』という小説投稿サイトに載っている小説は、なぜ主人公がモテまくったり、最強設定なのかという批評を読んだ。サイトにアクセス解析機能が付いているので、自分が投稿した小説の感想やアクセス数を毎日確認できる。主人公が苦しい展開や鬱状態になったりすると、目に見えてアクセスが落ちるという。読者のほうが苦しい展開に堪えられないようで、そうするとアクセス減を恐れるあまり、作者はずっと強いままの主人公を出さざるを得なくなるという。なるほどと感心。でも、より大きな困難を乗り越えてのカタルシスってことはないのかな。読者の意見を反映するのと、作者の独断で作るのとでは、最終的にどちらが良い作品になるのだろうか。

 

『少年ジャンプ』の過酷な人気投票は有名だけど、投票結果が反映されるまで発行から集計まで合わせれば1週間以上はかかっていたはずで、そうすると作者が軌道修正しようにもいくらかタイムラグがある。これは良くも悪くもだろうけど、以前のほうが作者のやりたいことを読者を気にせずにできていたのかもしれない。

 

今の読者が耐久力が落ちているということはあるのだろうか。たとえば遠藤周作の『沈黙』など今掲載されたらどうなのか。島原の乱から少し経った頃、ポルトガル人のイエズス会司祭ロドリゴは日本でキリスト教の火を絶やさぬために来日する。だが、信徒であるキチジローの裏切りにあい、長崎奉行所に捕らえられて棄教を迫られる。無敵だった主人公が弱くなるとか、鬱状態になるどころではなく、最初から最後までロドリゴはずっと拷問されている。神はなぜ拷問に苦しむ私の前に現れないのか。信仰が足りないのか、それとも神など最初から存在しないのでは‥‥。どうですか、このなろう小説は。なろう小説じゃないわ。読者、一人もいなくなる。

 

 

 

▼映画の感想『ある殺し屋 KILLER FRANK』『ナッツ!』を書きました。映画というのは美男美女を起用して当たり前ですが、本当にねえ、普通のおばちゃんを使いましたねえ。『ある殺し屋』は太ったおばちゃんをヒロインに据えるという。そんなところに感心。雰囲気が好きな映画。

 

ナッツ!』はジョン・ロミュラス・ブリンクリーという実在した医師のドキュメンタリー。ED治療のためにヤギの睾丸を人に移植するという、お、おまえ、マジかという。とんでもない医師。ドキュメンタリーではあるものの、ちょっとケレン味がある作り。レビューなどでオチを読まない方が楽しめると思います。面白かったです。