玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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食器棚の扉の修理

▼電気屋に温水洗浄便座交換の見積もりを依頼。しかし、あれだな。今までは『ウォシュレット』とか『シャワートイレ』と呼んでいたわけですが、それらを商品名だと知ってしまった今、再びウォシュレット(TOTOの製品)と呼ぶわけにはいかぬというみょうな責任感が芽生えている。

 

隣席のTさんから「『ウォシュレット』の交換終わったんですか?」と訊かれるものの「それは正しくは『温水洗浄便座』と言うのだ」と訂正していいものか悩む。Tさんも、今後はウォシュレットという言葉が使えなくなり、温水洗浄便座と言わなければいけなくなる。知識とは罪なもの。この温水洗浄便座という言葉の使いにくさ。ああ、私はウォシュレットが温水洗浄便座であることを知りたくなかった。まるで知恵の実を食べてしまったアダムのような心境というか、ずいぶん適当に書いていますね。ここまで3分。

 

解決法としてはだ。見積もりの中からTOTOの製品を買うという。つまり、本当にウォシュレットを買うことで、Tさんの「『ウォシュレットの交換終わったんですか?」という問いになんのわだかまりもなく「終わったよ(キラキラした満面の笑顔で)」と応じることもできよう。そんな動機で物を選んでいいものだろうか。まだ決めてないけど。

 

水に流したいほどのどうでもいい話。

 

 

 

▼現場を見に来た電気屋に調子の悪かった戸棚の具合もみてもらう。電気だけでなく、内装全般もやっているという。台所の戸棚は扉がしっかりと閉まらず、閉めたあとにふわ~っと浮いてしまうのだ。扉の修理の見積もりも依頼したが「これぐらいだったら自分でも直せますよ」と直し方を教えてもらう。君、つくづく売る気のない人だな。面白い。

 

蝶番(ちょうつがい)のバネがいかれているようで新しい物への交換を勧められた。ホームセンターへ行き蝶番を買う。適当な気持ちで行ってはいけなかった。いろいろ下調べがいるのだ。蝶番にもいろいろあって「全かぶせ」「半かぶせ」「インセット」という種類がある。扉と取り付ける板の位置関係を示しており、ほとんどは「全かぶせ」と「半かぶせ」どちらかになる。家に戻って確認するのが面倒なので記憶をたよりに「全かぶせ」を買った。当たっていた。

 

他にも蝶番が埋め込んであるカップ径(穴の大きさ)を調べていかなかったり、ぬかりが多い。そこのホームセンターはたまたま35mmしかなかったが、26mmや40mmもあるわけで偶然当たっただけである。

 

だいたいどれもこんな形状をしているわけで、見ているとかわいくなってくる。名前を付けたくなってくる。病気。で、扉をえっちおっちら外し、蝶番をつけようとするものの以前のネジ穴とは穴の位置が合わない。新しくネジ穴を開けなければ。インパクトドライバーを持ってないので面倒。

 

インパクトドライバーとは拷問のときに人の頭や手足にチュイーンと穴を開けたりする道具で、応用編として木の板にネジ穴を開けることもできる優れもの。便利! 欲しいよお。

 

これがないわけで、キリでぐりんぐりんと掌をこすり合わせながら開けるのですがまあ大変ですよ。位置はずれるし、穴はいびつだし、ようやっと扉はついたものの開閉はできるが3mmほど下がってしまった。見た目にはそれほどわからないのですが、しっかり見れば3mmのずれは大きい。なんとか調整して完成。工作楽し。

 

一つの物事をやり遂げた満足感があった。何もやり遂げずにきた人生。余生はこの満足感だけを胸に生きていく。もっと他に何かあるのでは。