玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ええわい

▼いつの間にやら花見の季節。まだ近所の桜は五分咲き。菜の花畑の近くを通ると、こちらは見事に咲き誇っていた。香りも強い。

 

 

 

▼ね? ね? かわいいでしょ? 我、かわいさの権化ゆえ、もっとなでろ~! とまとわりついてくる知人宅の犬。たしかにかわいい。拒絶されることを知らぬ無垢な魂。うはー! かわいいのう、ここか? ここが気持ちいいのか? と完全に甘やかしてしまう。

 

犬や猫がエイリアンだったらと考えると恐ろしい。着々と人を利用して地球征服がすすんでいる。人はかわいさに征服されてしまう。犬の耳元で「本当はわかってるんだからな」と釘を刺しておいた。やつらの侵略は私がくいとめる。狂人。

 

 

 

▼哲学者の梅原猛さんの自伝を読む。梅原さんのご両親は恋愛結婚なんですね。当時は恋愛結婚は野合視されていたというのも時代を感じさせる。妻が早く亡くなってしまい、男手だけで赤ん坊を育てるわけにもいかない父親は梅原さんを養子に出す。引き取って育てた養父が立派な人だった。村長だったのかな。第二次大戦中、米を盗まれて奥さんが「明日からどうやって食べていけば」と心配すると「誰かが食べるんだから、ええわい」と言ったという。

 

米を盗んだ犯人がつかまり、その母親が訊ねてくる。たしかな身元引受人がいれば監獄から出してくれるというので、村長のところにお願いにくるんですね。犯人の身元を被害者が引き受けるなど前代未聞ですが、警察にも驚かれたというけど、これも「ええわい」ということで引き受ける。

 

昔から「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるけれど、いい言葉だなと思う。米を盗んだ奴は当然悪いが、本当の問題は戦争による物資不足だから、ということで許したのではないか。つい憎みやすいもの、目の前にあるものに憎しみをぶつけてしまいがちだが、問題が他にあるということはよくある。

 

病気が治らなくて、病気という問題ではなく、医者を憎んでしまったり、医者と患者がお互いに対立することもある。会社のある業務がうまくいかず、本当は業務そのものに問題があっても、業務の担当者に憎しみが向かってしまうこともある。憎しみは、わかりやすいところに向かうから注意しなければ。ええわいの精神である。見習いたい。

 

私は仕事の恨みをいつか殺すノートに書き、心の石碑に深く刻み込んでいたが、これからはええわいの精神でいく。先日、無理難題をおしつけてきた部長を除き、ええわいの精神でいく。部長については心の石碑に深く刻んであるので、もはや消すことは不可能。いつか天罰がくだるだろう。

 

 

 

▼映画の感想「メッセージ」を書きました。とても雰囲気のいいSF映画。好きです。人気があるかは知らんけど。SFといえばAmazonプライムで配信していた「フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ」(全10話)も良かったなあ。1話解決の短編が10本、当たりハズレありますが。

 

 

 

▼ゲームの感想「MTGアリーナ」しつこく続けてついに最上位のランクに行きました。MTGのプロプレーヤーもここにいるので、ごくごくたまに当たったり。もうやめようと思うのに続けてしまう。困ったもの。