玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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ガンダムでたとえない

▼どうせ僕なんて、が口癖の卑屈くん。彼と二人一組で仕事をしているOさんと話す。卑屈くんとコミュニケーションがうまく取れず、沈黙が多くて気詰まりだという。卑屈くんはガンダムが好きだから「それはガンダムにたとえると何ですか?」と訊けば、喜んで教えてくれるかもしれないと言ってみた。オタクは教え好き(偏見)。

 

後日、卑屈君から「Oさんからやたらと『ガンダムにたとえると何ですか?』って言われるんですけど。Oさんてガンダム好きなんですかね?」と訊かれる。あれ、卑屈くんてガンダム好きじゃないのか。そんな馬鹿な。オタクはガンダムが好きと相場が決まっているのに(偏見)。卑屈くんは「僕、ガンダムは最初のやつしか知らないんですよね。最近のよくわからなくて‥‥。最初のガンダムでたとえてもピンと来ないのかな」と首をかしげている。そもそもOさんはべつにガンダムが好きじゃないから、わからなくて当たり前だ。

 

さらに後日、卑屈君に会ったところ、目を充血させながら「土日で、ガンダムSEEDガンダムSEEDデスティニー(全100話)全部観て勉強してきましたよ!」とテンションが高かった。アワワワワワ‥‥。そして例のごとくOさんから「ガンダムにたとえると何ですか?」と言われ、渾身のガンダムたとえをぶつけたところ「それなんですか?」と言われ「なんですか? ってどういうことですか!」と軽く切れてしまったらしい。

 

すべて私が悪い。イギリスがEU離脱で揉めているのもトランプ大統領がメキシコとの国境に壁を作るのも北朝鮮が核を放棄しないのもすべてが私が悪い。あと、卑屈くんがガンダム好きだという嘘を教えてしまったのも。卑屈くんとOさんに謝った。卑屈くんに「じゃあ、今の心境をガンダムSEEDでたとえると?」と訊くと「シン・アスカがなんとかでかんとかで‥‥」とたとえてくれた。ほー、Oさんはこんな心境だったのか。無である。さっぱりわからんな、これは。

 

 

 

▼映画の感想「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」を書きました。実在した音痴のオペラ歌手が周りにおだてられリサイタルを開きます。本当のこと言わなくていいのか‥‥。