玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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4k8kで何を観る

▼いつの間にか4k8k放送が始まった。私が楽しみにしていた「ブラタモリ」が4k8k放送開始特番で潰れたので許すまじと思いました。ハイビジョンになったときも思いましたが、ようは中身のほうが重要なわけで8kが16kになろうが32kになろうが64kになろうが128kになろうが256kになろうが512kになろうが1024kになろうが2048kになろうが4096kになろうが8192kになろうが、もうそろそろ許していただけないでしょうか。頼まれてないけど。

 

ようは中身なのだろうなあ。たいして画質の良くないテレビでドリフやひょうきん族を放送する土曜を心待ちにしていたり、野球のオールスターや日本シリーズに夢中で魅入っていた。ただ、本当に昔の番組の質が高かったのかなとも思う。ケーブルなどでは昔の番組がよく放送されているけど、あれほどおかしかった「とんねるず」だとか「ドリフ」だとか、今観ると面白くはない。思い出で美化されているように感じる。

 

ずっと贅沢なものに慣らされていると鈍感になるんじゃないのかな。相対化されてはじめて感動を覚えるように思う。それまでラジオしかなかった世代がテレビを観たときの興奮はものすごかったと思う。街頭テレビでプロレスに夢中になっている人々の姿はしばしば放送されるけど。あそこで行われているプロレスも今のプロレスと比べるとまったく華やかさもないし、技術も低い。それでも人々は熱狂していた。ようは差なんだろうなと思う。

 

何もかも満たされた世代で、もうテレビの興奮も頭打ちになっている。これはテレビだけじゃなくて他の分野でもそうなのだろうけど。ある程度豊かになると退屈な時代が訪れるんじゃないかしら。その退屈を「昔と比べて今は駄目だ」と思い込んでいるけど、実は満たされすぎているだけではないか。退屈さの中で何かを見つけて楽しむには、また別の才能がいるように思う。私がお勧めしたいのはカニ漁である。荒れ狂うベーリング海で鬼船長に怒鳴られながらやるカニ漁。監禁されて逃げ場も娯楽もない。もうカニを獲るしかないんだ。これは陸に上がったときは楽しいぞお。でも、テレビもネットもできそうな気がする。それか刑務所である。今、服役が熱い。それでこそ差を楽しめる。だが、刑務所もテレビは観られるからなあ。刑務所にいてすらテレビは追いかけてくるのだ。

 

友人が大学時代にやっていたバイトが山小屋のバイトだった。なにせ電気がないのがすばらしい。電話もない。2週間に1度ぐらい、麓の人が食料を届けてくれるという。登山客が来た時にカップラーメンを出すとか、寝床を用意するとかぐらいで、普段は何をしていてもかまわないという。友人はその間、国家試験の勉強に集中していた。なにせやることがないのだから。欠点としては、重病になると誰も助けてくれないので死ぬらしい。こっわー。

 

でも、今は山小屋もネットや電話が使えるかもしれない。もう完全に孤立する環境など有り得ないのかな。満たされたことに気づかずに漠然と不満を覚えて暮らしていくなんて、なんだかバカらしい気もする。これはもう拉致監禁してもらうしてもらうしかない。だが、40超えた汚いおっさんを誰が拉致監禁したがるかがまったくわからないけど。

 

 

 

▼映画の感想「幼女戦記」を書きました。性格が歪んだサラリーマンが過去に大戦中のヨーロッパ(架空)に転生しました。性格がドクズなのがたいへんすばらしい。面白かったです。