玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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引き継ぎ資料

▼炎の3歳児そうちゃんがやってくる。

 

甥かわいや、と思っていたが、少々飽きてきたような気がする。私の中の甥ブームが去ったのかも。おもちゃではないから「飽きた」というのも、ひどい話ではあるけど。我がままだし、飛び跳ねるし、お菓子は全部自分の物だと思っているし、理由なく奇声あげるし、よく考えるとこんなひどい生き物はいない。猛獣である。なぜ甥ブームが来ていたのか謎。自分で自分の心がわからない。以降、冷めた目で猛獣を観察していこうと思います。

 

 

 

▼知り合いのSNSを見ると、おしゃれな写真が溢れている。鮮やかな紅葉が降り積もった坂を下から舐めるように撮ったり、美味しそうな料理を真上から撮影している。こういった写真をどうやって撮ったかと考えると、紅葉の写真はしゃがむか寝転ぶかして地面スレスレから撮らねばならない。料理の写真は食卓に上がるか、椅子に乗って無理な態勢で真上から撮るしかない。かなり努力しないとおしゃれな写真は撮れないということか。

 

今までおしゃれな写真に対して、心のどこかで「ケッ」と思っていたが、きれいな写真の裏では撮影に四苦八苦している姿があるのだろう。そう考えるとなにやら許せるような気がする。ふふふふふ。許そう。

 

謎の上から目線。

 

 

 

▼引き続きサウジアラビアの人と話している。中東の映画を観ると毎回感じることだけど女性の人権が抑圧されている。教育についてはどうなのか聞いてみた。教育では特に差別はないという(あくまで個人に聞いた感想です)。サウジアラビアは公立校は小学校から大学まで無料(外務省)で、私立校は有料。国はかなり教育に力を入れているらしい。彼自身もそうだが、公立校に通っても優秀であれば道が開けるという。

 

学校を出てからは少し変わっていて、卒業者は就職省みたいな役所に就職の相談に行くらしい。ちょっとここらへん英語が聞き取れなかったので曖昧なのですが。彼は理系の人間だったこともあり、国から指定された研究をするようにと強引に決められてしまったそうである。これに従わないと就職はかなり難しくなるらしい。自分でやりたいことを選べない。断っても迫害されたり殺されたりはしないそうだけど。

 

女性は結婚してしまうと退職してしまう。結婚後は普通働かない。働いたとしても場所はかなり限られるという。国を統治する王族の政策か、宗教上の戒律のようなものかと思ったら、そうではなくて男たちの価値観の問題だという。行き過ぎた男尊女卑がまかりとおっており、極端にいうと女は男の所有物という感覚が強い。だから男が家から女を出したがらないのが問題だそうだ。優秀な女性が能力を活かせる場がないというのは本当に残念な話。

 

 

 

▼映画「ラ・ラ・ランド」がやっていたので途中からつい観てしまった。そんで泣きそうになる。これ、いい映画だったなあ。初見のときは、そこまでいいとは思わなかったけれども。

 

ラ・ラ・ランド」を横目で見ながら引継ぎ書類を何点か確認。文章とは厄介なもので、書いた人のエゴが見えるときがある。Aさんの書類は詳細で膨大な量だった。A4で何百ページにもなる。それは後任が困らないように詳細なものを作ったというより、「自分はこれだけやったんだ」という誰かにわかってほしい気持ちのほうが強く見えてしまう。読み手のことを考えていない。

 

Mさんの書類は簡潔でA4用紙半分にまとめられていた。ま、簡潔でいいんだけども。さすがに情報が足りない。君ら、ちょうどいいってもんがないのか。性格が出て面白い。

 

報告書などにも性格が現れる。理想的なのは結論が最初に書いてあり、そのあとに理由や説明が入っているもの。最初に長々と説明が入ると「結論はいったいどうなったんだろう」と気を揉んで焦れてしまう。書き手からすると、こういう苦労があったからこういった結果になったと語りたいんだろうけども、それは語る側の欲でしかない。結論書いて、その後に、書くなら理由を書いてくれたほうがスッと頭に入ってくる。人のフリ見て我がフリ直せの話。