玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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キラキラ

▼新人の大部分がキラキラネームだった。みな、キラキラしておるね。キラキラした人たちが淀んだ私に挨拶していく。まぶし。

 

キラキラネームを嘲笑う風潮はあれど、なぜキラキラネームというものを付けるようになったかはよくわからない。オンリーワンという思想なのかな。私たち自身がかけがえのない一人一人であるという。私自身にはそういった考えはない。方丈記に近い。おじいちゃんなので。

 

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と棲みかとまたかくの如し」

 

(流れ行く川の流れは途切れることがなく、元の水とは異なる。淀みに浮かぶ泡は、消えつつ形を結びつつ、長く留まるものはない。世間の人と棲みかもまたこのようである)

 

人という種は川のようなもので、私たちはその流れを構成する一滴の雫にしかすぎない。あまりに儚く脆い。だが、ありふれていようとも、かけがえのないことだってあるのではないか。逆に、オンリーワンだらけになった場合、オンリーワンの独自性は失われてワンオブゼムになるようにも思える。結局、名前は名前でしかないのだろう。キラキラしてようがしていまいが、やったことによってのみ評価されればよいのだ。

 

「何かお手伝いすることはありますか」「読んでおいたほうがいい書類はありますか」などと新人から言われる。今年の新人はやる気がみなぎっている。友人Nは新人の頃、定時が近づくと文房具を筆箱にしまい、時間が余っていると筆箱から出して机に並べ、またしまいというのを繰り返していたらしい。それでこそ新人ではないか。なんだよ、今年の連中は。

 

私の上司になってください。

 

 

 

▼朝からエンゼルスに移籍した大谷選手の活躍でもちきりだった。野球楽し。これほどワクワクさせてくれたのは、野茂、イチロー以来かもしれない。球団を超えて応援したくなる特別な選手というのは数少ないけれど、大谷選手はそんな特別な選手になる予感がする。

 

打てば3試合連続ホームラン、投げれば7回まで1安打ピッチングでノーヒットノーランを予感させるような内容で2勝目をあげた。絶好調だがこんな調子が続くはずはない。できすぎの内容。まさに鮮烈なデビューとなった。大谷が日本ハムで二刀流に挑戦したとき、評論家はほぼ全員が反対していたし、できるわけがないと言っていた。賛成したのは落合博満さんぐらいだったように思う。多くの批判にさらされながら、大谷を二刀流で起用し続けた栗山監督はさすが。

 

自分を基準として出来るか出来ないかを判断してしまいがちだけど、そうやって潰されてしまった挑戦というのもずいぶんあったんだろうなあ。失礼だけど、プロ野球選手として栗山監督には輝かしい実績がなかったというのも良かったのだろうか。他人に自分の可能性を委ねてはいけないし、他人の可能性を勝手に断定してもいけない。たとえ結果が出なかったとしても、本人が納得するまで挑戦してみればいいんだと思う。今回はめでたく最高の滑り出しになったけども。大谷が二刀流でいったとしても、初年度は打率250、本塁打5、投手として6勝、防御率4.50ぐらいだったら上々だと思っていた。

 

大谷選手は凡人の想像の及ばないところにいる。ただただ観るのが楽しみな選手。どうか怪我だけは。

 

 

 

▼映画の感想「ニュースの真相」を書きました。ブッシュ大統領再選時の軍歴詐称疑惑をとりあげた硬い映画です。つまらなそうということで敬遠されてしまいそうな作品。人が派手に死ぬわけでもなく、肌色が多く観られるわけでもない。ただひたすらに地味であるよ。ケイト・ブランシェットは本当にいい映画に出ますね。ロバート・レッドフォードも出ております。歳とったなあ。地味ですが見応えのある作品。