玉川上水日記

このブログの内容はすべてフィクションです

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義理チョコ

▼義理チョコにもいろんな種類がある。今日は打ち合わせで義理チョコをもらった。打ち合わせ相手の女性は、会社で同僚に配るために義理チョコを用意してきたけど、まったく社内でそういった雰囲気にならず、配る機会を失ってしまったという。もしよかったらというのでチョコをもらい、一緒にその場で頂いた。コーヒーを奢ることで公正なトレードが実現したようで嬉しい。

 

思えば義理チョコを贈るとはけっこう大変なこと。変に高価だと好意を持っているのではと勘繰られそうだし、あまりに安いとそれも失礼なようである。かといって義理チョコにお金をかけるのもバカらしい。また、あの人に上げてこの人に上げないと角が立つとか、そういうこともありそう。大変ですよ、これは。男もどういった形が望ましいか、表示したほうがいいのかもしれない。「いる」「いらない」「金額は500円まで」「チョコではなく唐揚げがいい」とか。

 

小学生時代、「チョコ欲しい?」とストレートに聞いてくる女の子がいた。私だけじゃなくてクラスの男子全員に聞いており、チョコを配りまくっていた。戦後の進駐軍のような女である。当時の私は、今に輪をかけて単純なので「欲しい!」と言って、チョコをもらった覚えがある。その節はどうもありがとうございました。

 

 

 

▼バレンタイン翌日、「どうせ僕なんて」が口癖の卑屈くんから、今年はいくつチョコをもらったか確認される。卑屈くんは、毎年私がチョコをもらってないことを確認して安心するという習慣がある。ヤツを悔しがらせるためだけにチョコが欲しい。「もらった」と伝えると「そんな‥‥」とつぶやき、頭を抱えて悔しがっていた。その様子が冗談ではないように見えて怖い。

 

「あのぅ‥‥僕は今年ゼロだったんですけど、自分で買ったやつももらったことにしていいですか?」と、わけのわからないことを言いだして怖かった。私を怖がらせるな。